空想天国

映画『空想天国』解説

1968年に公開された『空想天国』は、谷啓が主演を務めたコメディ映画です。この作品は、クレージーキャッツ主演の「作戦シリーズ」の番外編的な位置づけであり、ハナ肇と桜井センリがクレージーキャッツのメンバーとして出演しています。アメリカのボードビリアン、ダニー・ケイの映画『虹を掴む男』にインスパイアされた本作は、夢見がちな主人公が空想と現実の間で繰り広げる騒動をコミカルに描いています。酒井和歌子がマドンナ役を演じ、宝田明が主人公のライバル役として出演しているほか、当時人気だったキャラクター・ガマラも登場し、物語を彩っています。

あらすじ

主人公の田丸圭太郎は、気弱なサラリーマンでありながら、空想の世界ではヒーローとして活躍する夢見がちな男です。しかし、現実では失敗ばかりで、ついには守衛に降格されてしまいます。ある夜、田丸は会社に侵入した謎の集団に遭遇し、その際、守衛長が重傷を負って入院してしまいます。そこで田丸は、空想の中に現れる女性、山村宏子と出会います。彼女は守衛長の娘であり、田丸は恋心を抱きます。しかし、ひょんなことから田丸は警察に疑われ、逮捕されてしまいます。留置所を脱走した田丸は、謎の集団にさらわれた宏子を救うために立ち上がります。

キャスト

田丸圭太郎 / ガマラの声：谷啓
山村宏子：酒井和歌子
前野孝：宝田明
刑事：ハナ肇、桜井センリ
ガマラ：奈加英夫
秋山美智子：北あけみ
田丸久子（圭太郎の母）：京塚昌子
山水建設社長：藤田まこと
民子（社長令嬢）：豊浦美子
近藤設計部長：藤岡琢也
黒田：藤木悠
黒田の部下：権藤幸彦、田中浩、木村博人
産業スパイのボス：平田昭彦
産業スパイ：荒木保夫、越後憲、ハンス・ホルネフ
山村守衛長（宏子の父）：佐田豊
看守：小松政夫
パトカーの警官：中山豊
剣道場の男：関田裕
マラソン選手：頭師孝雄
洋装店店員：矢野間啓二
芸者：西岡慶子、中川さかゆ、矢野陽子
運転手：沢村いき雄
病院の看護婦：田辺和佳子
賊：奈加英夫とウルトラ・スリー
ラジオのアナウンサー：池谷三郎（声のみの出演）
内山みどり
サッカー場の観客：緒方燐作、勝本圭一郎、記平佳枝、吉頂寺晃

スタッフ

製作：渡辺晋
監督：松森健
脚本：田波靖男
撮影：西垣六郎
録音：矢野口文雄
照明：西川鶴三
整音：下永尚
音楽：萩原哲晶
美術：本多好文
殺陣：宇仁貫三
監督助手：田中寿一
編集：武田うめ
製作担当：橋本利明

主題歌

『夢が夢がこぼれる』
作詞：田波靖男
作曲：萩原哲晶
歌：谷啓

エピソード

本作は、1966年に制作された『クレージーだよ奇想天外』の延長線上にある作品ですが、監督は坪島孝から松森健に交代しています。松森監督は、TVドラマ『青春とはなんだ』などで知られています。劇中で主人公が訪れる“海東市”という地名は、当時放送されていた青春ドラマ『でっかい青春』の舞台と同じです。また、本作には、『青春とはなんだ』に出演していた矢野間啓二や豊浦美子、平田昭彦、藤木悠らが出演しています。酒井和歌子は、この後、東宝クレージー[[映画]]の最終作『日本一のショック男』でもヒロインを演じました。宝田明は、本作が東宝クレージー[[映画]]および傍系作品への唯一の出演となりました。

脚注

竹内博 編『東宝特撮・怪獣・SF映画写真集』朝日ソノラマ、2005年。ISBN 4-257-03716-4。
小林淳『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』アルファベータブックス、2022年。ISBN 978-4-86598-094-3。

外部リンク

日本[[映画データベース]] - 空想天国
allcinema - 空想天国
* KINENOTE - 空想天国

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