連理木(れんりぼく)とは
連理
木とは、二本の
木の枝、または一本の
木から分かれた枝が自然に癒着し、結合した状態を指します。これは自然界でも稀に見られる現象であり、その珍しさから古くより吉兆とされてきました。
連理木の象徴
連なった
木目が「縁」を結ぶように見えることから、「縁結び」や「夫婦和合」の象徴として信仰の対象となることがあります。異なる品種の
木々が連理となる場合もあり、その神秘性が人々の心を惹きつけます。
歴史
日本においては、『
続日本紀』に
和銅5年(
715年)に
美濃国から朝廷への献上品として「
木連理」が記録されています。また、
天平3年(
731年)には
美作国からも献上された記録が残っており、当時から祥瑞(めでたい兆し)として扱われていたことがわかります。
語源
連理
木の語源は、唐の時代の詩人、
白居易の『
長恨歌』の一節に由来します。
在天願作比翼鳥、在地願為連理枝
(天に在りては願わくは比翼の鳥となり、地に在りては願わくは連理の枝とならん)
この詩は、玄宗皇帝と楊貴妃の永遠の愛を誓う場面で詠まれたもので、「比翼連理(ひよくれんり)」という言葉は、男女の深い愛情のたとえとして用いられます。
日本各地の有名な連理木
日本各地には、縁起の良い
木として大切にされている連理
木が多数存在します。
縁桂森林公園「名
木 縁桂」 -
北海道乙部町:カツラの巨
木であり、
林野庁の「
森の巨人たち百選」にも選定されています。
白
木神社
トチノキ -
北海道函館市
城山八幡宮
アベマキ -
愛知県名古屋市
賀茂神社「連理眞榊様」 -
滋賀県近江八幡市
志賀神社
クスノキ - 福岡県
糟屋郡粕屋町
過去に存在した連理木
残念ながら、松枯れ病などによって枯死してしまった連理
木も存在します。
佐賀の夫婦松(
山口県熊毛郡
平生町):アカマツと
クロマツの連理でしたが、
1974年に枯死しました。
宇谷の連理根上りマツ(
鳥取県東伯郡湯梨浜町):
クロマツの連理でしたが、枯死により伐採されました。
下野の女夫マツ(
岐阜県中津川市):アカマツの連理でしたが、枯死により伐採されました。
高津連理のマツ(
島根県益田市):
クロマツの連理でしたが、1997年に伐採されました。
これらの連理
木は、かつては国の天然記念物にも指定されていましたが、自然の脅威には勝てませんでした。しかし、その存在は人々の記憶に深く刻まれています。
その他の関連事項
天安 (日本):連理
木が献上されたことが改元の理由の一つとなりました。
*
連理の枝:2005年の韓国映画のタイトルにもなっています。
連理
木は、自然の神秘と人々の願いが込められた、特別な存在と言えるでしょう。