白居易

白居易（白楽天）についての詳細

白居易（はく きょい）、大暦7年（772年）から会昌6年（846年）まで生きた唐代中期の名高い詩人です。彼は、太原郡陽邑県で生まれ、出自は北斉の白建末裔です。兄の白幼文や弟の白行簡とともに育ちました。彼は文学と政治の両面で優れた才能を発揮し、またその作品は時代を超えて人々に愛され続けています。

彼の名前「居易」は、古典『礼記』から由来し、君子は安全に待つことを意味します。字は「楽天」で、これは『易経』に由来します。様々な号を持ち、特に「酔吟先生」や「香山居士」として知られています。

生涯と業績

白居易は、父の白季庚と母の陳氏のもと、鄭州新鄭県で子供時代を過ごしました。幼少期から詩才を示し、詩作を始めたのはわずか5歳の頃でした。彼の家系は必ずしも名家ではありませんでしたが、安禄山の乱以後の政治改革が功績を挙げるチャンスを与えました。29歳で科挙に合格し、その後、数多くの官職を歴任しました。特に、彼の名作「長恨歌」はこの時期に生まれました。

元和元年には受験準備のため一時的に職を退き、元稹らとともに過ごしました。この時、彼は「策林」と呼ばれる政治思想を書き、治政に関わる多くの提言を行いました。その後も多くの官を歴任しながら、彼の詩作は多様性に富んだものになりました。

詩風と作品

白居易は、その多作においても際立っており、現存する文集は71巻が残ります。彼の詩は約3800首にも及び、内容は多彩であるのが特徴です。初期は「新楽府運動」を展開し、社会的な問題に焦点をあてた「諷諭詩」を多く作成しました。しかし、江州司馬に左遷された後は、より日常の喜びを描いた「閑適詩」を中心に詩作を行います。彼の作品は平易で理解しやすく、官僚たちだけでなく広範な人々に愛されたと伝えられています。

「新楽府」は、社会や政治の批判を暗示しながらも、時代背景を意識した内容が詰め込まれています。また、特に日本においては、彼の詩風が大変好まれ、その影響は平安時代の文学にも及びました。菅原道真や紫式部らも彼の影響を受けたと言われており、特に「長恨歌」は日本の文学において称賛を受けました。

日本への影響

白居易の詩は国内外で評価され、特に日本では平安文学に大きな影響を与えました。彼の作品は、時の大宰少弐藤原岳守が入手した『元白詩集』として伝来し、更に『白氏文集』が平安貴族に影響を与えました。「長恨歌」を始めとする閑適詩や感傷詩は、多くの日本の文学作品で引用され、愛用されました。また、彼は自身の詩の重要性を自覚し続け、その言葉は時代を超え、今日まで多くの人々に伝わっています。

彼の生涯は平易な詩作を通じて、世の中の様々な人々に受け入れられる所に意義があると言えるでしょう。彼の詩の魅力は、単なる文学としてだけではなく、文化と哲学をも豊かに育ててきたと言えます。

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