進め!!聖学電脳研究部

進め!!聖学電脳研究部

『進め!!聖学電脳研究部』は、平野耕太が手がけた独特な漫画作品です。アスキーが刊行していた『ファミ通PS』において1997年から1998年まで連載され、新声社からは1999年に単行本として発売されましたが新声社が倒産したため、初版は絶版となりました。その後、2003年に角川書店から再刊されました。本作は得体のしれない経緯を持ち、連載当初は編集部との軋轢があったためにあまり注目されず、その過程から「干されていた」と言われることもあります。興味深いことに、プレイステーションを題材にしている雑誌の中で連載されたにもかかわらず、最終回ではセガサターンのゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』を絶賛しています。この作品には、作者が住む足立区を舞台にした地名や登場人物の名前が幾つか散見されるなど、地域色も強く感じられます。

あらすじ

物語は、高校1年生の西新井護が聖学園高校に転校するところから始まります。彼はある時、ゲーム好きによる不思議な集団「電脳研究部」に足を踏み入れる羽目になり、そこで様々な奇妙な出来事に巻き込まれていきます。この集団のメンバーとの交流を通じて、護は自身のゲームスキルだけでなく、さまざまな価値観や人間関係を学んでいくことになるのです。

登場人物

西新井護

本作の主人公であり、ゲーム好きの高校1年生。彼は新しい環境での不安を抱えつつも、個性的な仲間たちとの交流を通じて成長していきます。特にゲームセンターで出会った綾瀬由紀との関係が物語の大きな要素となっていきます。

綾瀬由紀

電脳研究部の部員で、ゲームの腕前はすばらしいが、意外な弱点を抱えています。彼女は重度の腐女子であり、同人活動も行っているため、独特の視点を基本にしたキャラクターとなっています。

寺門

部長として活躍する使えないクソゲーマニアで、常識を逸脱した行動を取ります。彼のキャラクターは、ユーモアと少しのシリアスさを持ち合わせており、物語に不可欠な存在です。

梅田古奈美・梅島奈夢子

美少女でコスプレ好きな2年生。彼女たちも寺門に恋心を抱くが、そこには面白いモチベーションや展開が織り込まれています。

間久部字楽

電脳研究部の顧問で、神学教師という肩書きながら、彼の懐には悪魔趣味が潜んでいます。異常な力を持つ彼は、物語の緊張感を高める存在となっています。

この他にも、北千住高校の番長など、特色あるキャラクターが数多く登場し、物語を彩ります。

単行本と特徴

単行本は、元々の連載版を元にしており、通常よりも横長の形状を持っています。また、新声社版と角川版の両方には無関係なすごろくが挿入されており、ユニークなフォーマットが作品の魅力を引き立てています。

作品のスタイル

『進め!!聖学電脳研究部』は、ただのゲーム漫画に留まらず、登場人物たちの独特な掛け合いやシュールな状況が展開されることで、読者に楽しさだけでなく新たな視点を与えることに成功しています。テンポの良いストーリー展開と緻密に描かれたキャラクターたちの相互作用が、この作品の大きな魅力でしょう。ゲーム文化の一端を知りたい方、また独自の青春群像劇に興味がある方には、ぜひ一読していただきたい作品です。

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