逸聖尼師今

逸聖尼師今（いつせい にしきん）

逸聖尼師今は、新羅の第7代の王であり、134年から154年まで在位しました。彼の出自については諸説あり、『三国史記』では第3代儒理尼師今の長男とされていますが、他の記録では異なる記述も見られます。

治世

祇摩尼師今の後継者として王位に就いた逸聖尼師今は、治世中に靺鞨の侵入に悩まされました。137年と139年には靺鞨の侵攻を受け、長嶺が略奪されたため、140年には長嶺に柵を築き、防衛を強化しました。142年には靺鞨征伐を試みましたが、臣下の進言により中止となりました。

国内政策においては、農業を重視しました。144年2月には、農業が政治の根本であるとして、水利の修繕と農地開拓を奨励する布令を発令し、民間の金銀珠玉の使用を禁止する倹約令も出しました。また、147年7月には、智勇に優れた人材を群臣に推薦させました。逸聖尼師今のこれらの政策は、国家の安定と発展に寄与したと考えられます。

154年2月、逸聖尼師今は在位21年にして死去しました。彼の埋葬地は現在も不明です。

逸聖尼師今の治世は、外敵の侵入に対する防衛と、国内の安定化に重点が置かれていました。農業を重視し、民間の奢侈を抑制する政策は、当時の社会情勢を反映したものであり、彼のリーダーシップがうかがえます。

参考文献

金富軾撰、井上秀雄訳注『三国史記』第1巻、平凡社〈東洋文庫372〉、1980年 ISBN 4-582-80372-5
一然撰、金思燁訳『完訳 三国遺事』明石書店、1997年 ISBN 4750309923（原著『完訳 三国遺事』六興出版、1980年）

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