儒理尼師今

儒理尼師今

儒理尼師今（じゅり にしきん、生年不詳 - 57年10月）は新羅の第三代王であり、24年から57年までの長い治世を送りました。彼の家系は朴氏で、先代王南解次次雄の長男にあたります。その王妃は日知葛文王の娘とされています。

王位の即位

紀元24年9月、父である南解次次雄が亡くなると、儒理は太子としての地位を持っていました。しかし、妹婿であり大輔の位にあった昔脱解が高い徳望を持っていたため、儒理は王位譲渡を考えました。しかし、脱解の言葉を受けて、国人たちは儒理を王として迎え入れることとなり、尼師今と呼ばれるようになりました。

治政の特徴

儒理の治世においては、国民への福祉が重視され、28年11月には寡婦・寡夫や独り身の老人たちに食料を分配しました。この施策により、多くの人々が隣国から新羅に移住してくるようになりました。

さらに32年には、元の六村の名称を改め、それぞれに姓を与えたり、官位を整備するなど、行政組織を一新しました。36年には、楽浪の軍が攻撃を仕掛けてきましたが、翌年には高句麗の王が楽浪を滅ぼし、新羅には楽浪民が流入しました。これに伴い、彼らは六部に分けて定住させられました。

儒理は外交面でも成功を収め、40年には濊の華麗県・不耐県が攻めてきましたが、貊国が出兵してこれを撃退しました。そのため、儒理は貊国と良好な関係を持つことにしました。42年には伊西国を討滅し、高句麗からの侵攻に備えるなど、強い国家を築きました。

晩年と葬儀

57年には在位34年で病を患い、脱解を王位に就けるように訓示を残して10月に亡くなりました。父南解次次雄と同様に、自身も始祖赫居世の霊廟である虵陵に葬られました。

王号の由来

儒理に与えられた「尼師今」という王号は、歯の理が整っていることを意味するもので、国の秩序と統治の象徴とも言えます。この王号の背景には、儒理の父が死の前に息子と娘婿に対して年長者が王位を継承するようにと告げたことが影響しています。

歌楽文化の発展

治世中に儒理が行った施しに国民が感謝の意を示したことで、兜率歌という新たな歌楽が誕生しました。また、六部の改組後には、「嘉俳」と呼ばれる祭りが行われ、競争によって生まれた文化が後の歌楽に寄与しました。負けた側が感嘆して発する「会蘇」という声から生まれた会蘇曲は、歌楽の一環として伝承されることとなります。

参考文献

• - 金富軾撰、井上秀雄訳注『三国史記』第1巻、平凡社〈東洋文庫372〉、1980年 ISBN 4-582-80372-5
• - 一然撰、坪井九馬三・日下寛校訂『三国遺事』＜文科大学史誌叢書＞東京、1904年（国立国会図書館 近代デジタルライブラリー）

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