遊撃隊 (長州藩)

遊撃隊（ゆうげきたい）

遊撃隊は、幕末期の長州藩において結成された、藩の正規軍とは異なる独自の部隊、いわゆる諸隊の一つです。この部隊は、身分に関わらず広く人材を募った点が特徴で、長州藩の動乱期において重要な役割を果たしました。遊撃隊は、その機動力を活かして各地を転戦し、長州藩の命運を左右する様々な戦いで活躍しました。

結成と初期の活動

文久3年（1863年）10月、高杉晋作が創設した奇兵隊に触発される形で、来島又兵衛によって周防国宮市（現在の山口県防府市宮市）において結成されました。来島は、町人、農民、浪士など、身分を問わず広く隊員を募り、自ら初代総督に就任しました。土佐藩を脱藩した池内蔵太や中島信行、元天誅組の上田宗児といった人物も参加し、多様な背景を持つ隊員で構成されていたのが特徴です。

遊撃隊は、結成当初からその高い戦闘力を発揮し、長州藩の戦力として重要な位置を占めました。元治元年（1864年）の禁門の変では、先鋒として参戦し、その名を轟かせました。しかし、この戦いで総督であった来島又兵衛が戦死するという悲劇に見舞われます。

その後、遊撃隊の指揮は石川小五郎に引き継がれました。石川は総督として隊をまとめ、高杉晋作が決起した功山寺挙兵にも呼応し、俗論党との戦いで勝利に貢献しました。この戦いでの活躍により、遊撃隊は長州藩内での地位を確立していきました。

正規軍としての編入と活躍

慶応元年（1865年）3月、長州藩政府は諸隊の整理統合を行い、遊撃隊も藩の正規軍として公認されました。この時、毛利親直が総督として迎えられ、遊撃隊は藩から俸給や武器弾薬を支給されるようになりました。これにより、遊撃隊はより組織化され、長州藩の軍事力として一層重要な存在となりました。

慶応2年（1866年）の第二次長州征伐では、芸州口において幕府軍と戦い、その武勇を再び示しました。戊辰戦争においても、倒幕軍の一翼を担い、各地を転戦して活躍しました。遊撃隊は、その機動力を活かした戦術で、数々の戦いで勝利を収めました。

解散とその後

戊辰戦争終結後、遊撃隊は解散しました。しかし、戦後、冷遇に対する不満を募らせた諸隊の隊士たちが反乱を起こした際、200名を超える遊撃隊の隊士が参加し、反乱の中心となりました。しかし、この反乱は鎮圧され、遊撃隊の歴史は幕を閉じました。

墓所・記念碑

山口県岩国市にある籌勝院には、第二次長州征伐で戦死した遊撃隊士の墓があります。これは、遊撃隊の戦いと犠牲を今に伝える貴重な史跡です。

関連項目

* 遊撃隊 (幕府軍)

遊撃隊は、幕末の激動期を駆け抜けた長州藩の精鋭部隊でした。その歴史は、当時の社会情勢や人々の息吹を今に伝える貴重な記録と言えるでしょう。

もう一度検索