過ぎ去りし日々

過ぎ去りし日々 (All Those Years Ago)

ジョージ・ハリスンが1981年に発表した楽曲「過ぎ去りし日々」は、亡きジョン・レノンへの追悼歌として、深い感動を呼びました。元ビートルズのメンバー、リンゴ・スターとポール・マッカートニーもレコーディングに参加し、歴史的な共演が実現しました。

制作の背景

1980年、ハリスンはアルバム『想いは果てなく〜母なるイングランド』を制作していましたが、レコード会社の意向でリリースが延期されてしまいます。そんな中、リンゴ・スターから楽曲提供の依頼を受け、ハリスンは「過ぎ去りし日々」と「ラック・マイ・ブレイン」の2曲を提供しました。

スターのボーカルとドラム、アル・クーパーのキーボード、ハービー・フラワーズのベースなどを加えてレコーディングが行われましたが、スターは自身の声域に合わないことや歌詞の内容から、この曲を自身のアルバムには収録しないことを決めました。その後、ハリスンは自身のアルバムの収録曲として再検討することにしました。

しかし、レコーディング作業中にジョン・レノンが凶弾に倒れるという悲劇が起こります。ハリスンはレノンへの追悼の意を込めて歌詞を書き換え、自らボーカルを再録音することを決意しました。

レコーディング

歌詞はレノンへの敬意を表す内容に一新され、「Imagine」や「All You Need Is Love」といったレノンの代表作を彷彿とさせるフレーズが盛り込まれました。また、レノンを殺害したマーク・チャップマンについても言及されています。

レコーディングには、偶然にもポール・マッカートニー夫妻とウイングスのデニー・レインが参加することになりました。彼らはハリスンのギター演奏をオーバーダブするためにスタジオを訪れていましたが、ハリスンの提案でバッキング・ボーカルを録音することになったのです。これにより、1970年1月の「アイ・ミー・マイン」のセッション以来となる、ハリスン、マッカートニー、スターの3人による共演が実現しました。

リリースと評価

「過ぎ去りし日々」は1981年5月にシングルとしてリリースされ、アメリカのビルボードHot 100で最高2位、アダルト・コンテンポラリー・チャートで1位を獲得する大ヒットとなりました。全英シングルチャートでも13位を記録しています。

この曲は、後にハリスンのコンピレーション・アルバムにも収録され、1992年のライブ・アルバム『ライヴ・イン・ジャパン』には日本武道館公演でのライブ音源が収録されました。2010年には、AOL Radioのリスナー投票による「10 Best George Harrison Songs」で6位にランクインするなど、現在でも多くの人々に愛されています。

参加ミュージシャン

ジョージ・ハリスン - ボーカル、エレクトリック・ギター、バッキング・ボーカル、シンセサイザー (#1)、グッガバ(#2)
リンゴ・スター - ドラム (#1)
ジム・ケルトナー -ドラム (#2)
ハービー・フラワーズ - ベース (#1)
ウィリー・ウィークス - ベース (#2)
ポール・マッカートニー - バッキング・ボーカル (#1)
リンダ・マッカートニー - バッキング・ボーカル (#1)
デニー・レイン - バッキング・ボーカル (#1)
アル・クーパー - エレクトリック・ピアノ (#1)
ニール・ラーセン - キーボード (#2)
ゲイリー・ブルッカー - シンセサイザー (#2)
レイ・クーパー - パーカッション、タンバリン (#1)、コンガ (#2)
* アラ・ラカ - タブラ (#2)

「過ぎ去りし日々」は、ジョン・レノンへの深い追悼の念と、ビートルズのメンバーたちの友情が込められた、時代を超えて輝き続ける名曲です。

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