道 (宇多田ヒカルの曲)

宇多田ヒカル「道」：新たな音楽性の探求と評価

宇多田ヒカルの楽曲「道」は、2016年9月16日にアルバム『Fantome』からの先行配信シングルとしてリリースされました。椎名林檎とのコラボ曲「二時間だけのバカンス」と同時配信され、大きな話題を呼びました。

背景と制作

2016年4月に「花束を君に」と「真夏の通り雨」で音楽活動を再開した宇多田ヒカル。8年半ぶりのオリジナルアルバム『Fantome』のリリースに先駆け、リード曲として発表されたのがこの「道」でした。リリースに際し宇多田は、アルバムの1曲目を明るくすることで、自身の元気な様子を伝えたいとコメントしています。また、NHK「SONGS」での糸井重里との対談では、アルバムのメインテーマを担う、言い残したことを言い切った曲だと語りました。

音楽性

「道」は、宇多田自身がプログラミングを手掛けたダンス・ポップです。ソカやカリプソなどのリズムを取り入れたトラックが特徴的で、従来のJ-POPにはない新鮮なサウンドを作り出しています。Real Soundは、冒頭のシンセサウンドがMajor Lazer & DJ Snakeの「Lean On (feat. MØ)」を連想させると指摘し、世界標準の現行ポップ・ミュージックとのリンクを感じさせると評価しました。また、宇多田の特徴である自身の声を重ね合わせたコーラスワークも、Bメロからサビにかけて存分に発揮されています。

評価

音楽プロデューサーのtofubeatsは、ソカやカリプソのリズムを取り入れた点について、「こういうリズムで売れた楽曲は日本ではあまりない」と指摘し、宇多田がニッチなリズムに目をつけたことで、J-POPに新たな風を吹き込んでいると称賛しました。島野聡は、自身のブログで「こんなに先が読めないコード進行は正直初めてかも」と述べ、宇多田ヒカルの才能に改めて感銘を受けたと綴っています。スージー鈴木は、2016年を「宇多田ヒカルがすべてを持っていった1年」と評し、年間ベスト10の1位に「道」を選出。サビのメロディを「実験的ミニマル・ミュージック」だと評価しました。

披露

「道」は、NHKの『SONGSスペシャル宇多田ヒカル〜人間・宇多田ヒカル 今『母』を歌う〜』や、12年ぶりの国内ツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」で披露されました。ライブでは、「あなた」に続く2曲目に歌唱され、観客を魅了しました。

チャート成績

「道」は、Billboard Japan Hot 100で初登場12位を記録。ラジオでは1位を獲得し、その後もダウンロードランキングで高順位を維持しました。年間では、ダウンロード売上において「花束を君に」「真夏の通り雨」に次ぐ28位を記録。「Billboard Japan Hot 100」の年間チャートでは66位、「Billboard Japan Top Radio Songs」では年間4位を獲得しました。

収録曲

1. 道

作詞・作曲・編曲:宇多田ヒカル

クレジット

宇多田ヒカル：ボーカル、プログラミング
スティーヴ・フィッツモーリス：レコーディング
小森雅仁：ボーカルレコーディング
アレクシス・スミス、ジョー・ヘンソン：プログラミング補助
ニック・メイヤー：ギター
ダレン・ヒーリス：エンジニアリング補助

「道」は、宇多田ヒカルの新たな音楽性を提示し、J-POPシーンに大きな影響を与えた楽曲と言えるでしょう。

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