道口岐閉国造

道口岐閉国造（みちのくちのきへのくにみやつこ）

道口岐閉国造は、古代の常陸国（現在の茨城県）北部に勢力を持っていた地方豪族です。別名、道前岐閉国造とも呼ばれます。その領域は、現在の多賀郡（または多珂郡）道口郷、すなわち日立市助川付近を中心としていました。

概要

道口岐閉国造は、常陸国北部の地域を支配し、政治・経済・文化に大きな影響力を持っていたと考えられています。国造の制度は、大和朝廷が地方支配を強化するために設けたもので、各地域の有力な豪族が任命されました。道口岐閉国造も、その一環として成立したと考えられます。

祖先

道口岐閉国造の祖先は、建許呂命（たけころのみこと）とされています。伝承によれば、応神天皇の時代に、建許呂命の子である宇佐比刀禰（うさひとのね）が道口岐閉国造に任じられたとされています。このことから、道口岐閉国造は、代々この一族によって受け継がれてきたと考えられます。

本拠地

道口岐閉国造の本拠地は、常陸国多珂郡（または多可郡）道口郷とされ、現在の茨城県日立市助川付近に比定されています。この地域は、久慈川と太平洋に面しており、水運や漁業が盛んな場所でした。また、この地は、常陸国北部の交通の要衝でもあり、政治・経済的に重要な拠点であったと考えられます。

周辺地域との関係

道口岐閉国造は、周辺地域との関係も深く、特に、多珂国（後の多賀郡）や高国造、道奥菊多国造、石城国造といった他の国造との交流があったと考えられます。また、大熊町周辺は、7世紀後半には「苦麻」と呼ばれ、道尻岐閉（みちのしりのきへ）または道後岐閉とも呼ばれていました。これらのことから、道口岐閉国造の勢力範囲は、現在の茨城県北部から福島県南部にかけて広がっていた可能性も考えられます。

その他

7世紀後半には、助川が久慈郡と多珂郡の境界だったという記録も残っており、道口岐閉国造の勢力が、この地域の行政区画にも影響を与えていたことがうかがえます。

参考文献

『國史大辭典』(吉川弘文館)
坂本太郎・平野邦雄『日本古代氏族人名辞典』(吉川弘文館)
『日本古代人名辭典』(吉川弘文館)
『日本史広辞典』(山川出版社)
『神道大辞典』(臨川書店)
『日本史総覧』(新人物往来社)

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