道徳ドキュメント

道徳ドキュメントとは

『道徳ドキュメント』は、2006年4月12日から2015年10月2日までNHK Eテレで放送されていた、小学校5・6年生および中学生向けの道徳教育番組です。ドキュメンタリー形式を採用し、現実社会の問題や人々の生き方を通して、道徳的な価値観を学ぶことを目的としていました。字幕放送や副音声による解説も行われ、より多くの視聴者への配慮もなされていました。

概要

放送開始当初は小学校高学年向けでしたが、2011年度からは中学校も対象に加わりました。小学校と中学校の両方を対象とした学校放送は、『みどりの地球』以来26年ぶりであり、その後の学校放送に影響を与えました。番組は2015年10月2日に終了し、後番組として『オン マイ ウェイ』が放送開始されました。

2015年度前期には、同じく道徳番組である『ココロ部!』が開始され、小学校高学年・中学生向けの道徳番組が2番組並立する形となりました。

番組のメインテーマは「ドキュメントを通して学ぶ、道徳教育」。従来のドラマ形式の道徳番組とは異なり、現実の問題に焦点を当て、視聴者が自ら考えることを促すスタイルが特徴です。

番組の変遷

2006年度 - 2010年度

この期間は、石井正則がナビゲーターを務め、実際の出来事や人物の生き方をドキュメンタリー形式で紹介しました。過去の出来事を振り返る際にはイラストを多用し、小学校高学年にも分かりやすい構成となっていました。

2011年度以降

番組は、よりドキュメンタリー色を強め、現在起きている問題に焦点を当てるようになりました。ナビゲーターは堀伸浩アナウンサーに交代し、スタジオ演出では模型や特撮を用いるなど、視聴者の興味を引く工夫が凝らされました。中学校も対象に加わり、より幅広い視聴者層に道徳教育を届ける番組へと進化しました。中学校向けの道徳番組は『ティーンズTV 私の生きる道』以来8年ぶりでした。中学校向けの道徳番組は、元々ドキュメンタリー形式が一般的であったことも、本番組が中学校を対象とした理由の一つです。

内容

番組では、東日本大震災や戦争、いじめ問題といった社会的なテーマから、ごみ問題やマナーといった身近なテーマまで、幅広く扱いました。『プロフェッショナル 仕事の流儀』などの番組映像を再構成して使用することもありました。また、スポーツ選手を取り上げることもあり、過去にはサッカー日本女子代表の岩清水梓選手も登場しました。

番組構成

各放送回は、以下の3つの副題シリーズで構成されています。

キミならどうする？：判断の難しい問題を提起し、視聴者に考えさせます。
人生はチャレンジだ：困難を乗り越えて仕事を成し遂げた人物を紹介します。
人とつながる：思いやりやコミュニケーションの大切さを伝えます。

従来の道徳番組では、番組のねらいが示されていましたが、本番組では、視聴者が自ら考え、話し合うきっかけを与えることを重視し、番組のねらいは明示されていません。

放送時間

2011年度以降は、各教科ごとに放送曜日が固定され、本番組も金曜日に放送されていました。しかし、2015年度には『ココロ部!』が金曜日に放送されることになったため、本番組は木曜日に変更されました。

出演者

初代ナビゲーター

石井正則（2006年度 - 2010年度）

初代ナレーション

高山みなみ（2006年度 - 2010年度）

2代目ナビゲーター

堀伸浩（2011年4月22日 - 2013年3月8日）

2代目ナレーション

廣瀬智美（2011年4月22日 - 2013年3月8日）

3代目ナビゲーター

谷地健吾（2014年1月24日 - 2015年3月6日）

3代目ナレーション

三輪秀香（2014年1月24日 - 2015年3月6日）

OPテーマ

『歌声よおこれ』（サンボマスター）

関連情報

みんな生きている
道徳ドキュメント - ウェイバックマシン - NHK公式サイトのアーカイブ
道徳ドキュメント - NHK放送史
教育TV SHOW ケース - NHK放送史 (動画の1分2秒より番組紹介)

『道徳ドキュメント』は、ドキュメンタリーという手法を通して、視聴者に現実社会の問題を深く考えさせる、教育番組として重要な役割を果たしました。

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