達雲

達雲（たつ うん）

達雲（1551年 - 没年不詳）は、明代の武将であり、字は騰霄、号は東楼と称しました。涼州衛を本貫とし、その生涯を通じて、勇敢さと卓越した戦略で数々の戦功を挙げました。

生涯

達雲は若い頃からその武勇と知略で知られていました。万暦年間には、指揮僉事の職を世襲し、その後、守備に抜擢され、粛州游撃将軍へと昇進しました。1591年、炒胡児が侵入した際には、参将の楊濬と共にこれを撃破し、その功績が認められ、西寧参将に転任しました。

1595年、順義王アルタンの甥であるエンケダラ率いるヨンシエブが青海で勢力を増し、西寧副将の李魁を誘殺するという事件が起こりました。ヨンシエブが南川に侵入した際、達雲は独自の戦略を用いて敵を迎え撃ちました。彼は兵に要害を築かせ、チベット人を密かに敵の後背に回り込ませる作戦を実行しました。自らは精鋭2000の兵を率いて会戦に臨み、チベット軍の伏兵と協力して敵軍を挟撃し、見事勝利を収めました。この戦いで、達雲は自ら敵将を討ち取り、680人以上を斬首するという大戦果を上げました。ヨンシエブ軍の残党は、峡谷から逃走中にチベット人によって殲滅されました。この勝利の報告を受け、達雲は副総兵に昇進しました。

青海部の火落赤と真相らがチベットの砦を包囲すると、チベット人たちは彼らに降伏し、連合して明領に侵入し、西川に迫りました。達雲は諸軍を率いて康纏溝に陣営を構えましたが、連合軍に包囲されてしまいます。しかし、達雲は勇敢に戦い、朝から夕方まで数十回にわたり戦いを繰り広げました。敵は長槍や鉤杆で明軍の陣を突破しようとしましたが、達雲率いる西寧軍の堅固な守りを崩すことはできませんでした。最終的に連合軍は撤退を開始し、明軍は数十里にわたって追撃し、凱旋しました。この功績により、達雲は都督同知に昇進し、涼州衛指揮使の位は子孫に世襲されることとなりました。

その後も、ヨンシエブは鳴沙や上谷に侵入を繰り返しましたが、達雲はこれらの侵攻を全て撃退しました。総兵官に任じられた後、延綏に駐屯し、その後甘粛総兵官に転じました。1598年、ヨンシエブが再び西寧に侵攻し、参将の趙希雲らが戦死すると、達雲は敗戦の責を問われ、俸給を停止されました。

同時期に、松山部の賓兎、阿赤兎、宰僧、著力兎らが甘州と寧州の間で活動し、度々明の領土を侵犯していました。巡撫の田楽は松山部討伐作戦を立案し、達雲は副将の馬応龍、姜河、王鉄塊らと共に進軍し、松山部の根拠地を全て陥落させました。この功績により、右都督に進み、指揮僉事の位も世襲が認められました。青海部が五道に分かれて河西回廊に侵攻した際には、明軍の堅固な防備によって撃退され、170あまりの首級を挙げました。この功績で達雲は左都督に昇進しました。松山部が旧根拠地を奪回しようとした際にも、達雲は地の利を生かして迎え撃ち、160人を斬首しました。これらの功績が認められ、達雲は太子少保の位を加えられました。

1605年、松山部の銀定と歹成が鎮番に侵攻した際、達雲は副将の柴国柱を派遣してこれを撃退しました。その後、青海部が再び侵入してきた際には、兵を分けて迎え撃ち、首長の沙頼を生け捕りにし、残りの兵を敗走させました。1607年には、松山と青海の両部が涼州衛を侵犯しましたが、達雲は紅崖でこれを迎え撃ち、勝利を収め、130人以上を斬首しました。その後、秋の防衛中に亡くなりました。死後、太子太保の位が追贈され、「英烈武侯」という諡号が贈られました。

子女

達雲には二人の息子がいました。

達奇策（長男、大靖参将）
達奇勛（次男、万暦末年に昌平総兵官）

参考文献

* 『明史』巻239 列伝第127

達雲の生涯は、明代の辺境防衛における重要な役割と、その卓越した軍事的手腕を物語っています。

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