遙かなる影

遙かなる影

「遙かなる影」（はるかなるかげ、原題: (They Long to Be) Close to You）は、バート・バカラックとハル・デイヴィッドによって創作された楽曲です。英語圏では、この曲を含むカーペンターズのアルバム名から「Close to You」という名前でも知られています。

初演とカバーの歴史

この曲は1963年にリチャード・チェンバレンが最初にレコーディングし、その後1964年にディオンヌ・ワーウィックが、1967年にはダスティ・スプリングフィールドがそれぞれカバーしました。興味深いことに、1968年には作曲者のバート・バカラック自身もこの曲を吹き込んでいます。

1970年5月20日、カーペンターズがシングルとして発表したバージョンが大ヒットを記録しました。このシングルのB面にはリチャード・カーペンターがボーカルを担当した「愛しつづけて（I Kept on Lovin' You）」が収められています。カーペンターズ版は、1970年の7月25日から8月15日の間にビルボードのHot 100で4週間連続1位を達成し、彼らにとって初のナンバーワンヒットとなりました。また、ビルボードのイージーリスニング・チャートでも1位に輝き、その年の年間チャートでも第2位の記録を持っています。

このシングルには、フェイドアウトやピアノの間奏で終わるバージョンを含むマルチバージョンが存在し、各々独自の魅力を持っています。曲中にはフリューゲルホルンのソロがあり、最初はA&Mレコードの創設者であるハーブ・アルパートに演奏を依頼する予定でしたが、アルパートが不在だったため、チャック・フィンドレーが演奏を担当しました。フィンドレーの演奏はアルパートそっくりだったため、多くの関係者は彼の正体に気づかなかったそうです。

「遙かなる影」は、グラミーの殿堂入りも果たしており、その評価は多くの世代にわたって引き継がれています。

メディアでの使用

1993年には、カーペンターズのバージョンがフジテレビ系ドラマ『パパと呼べないの!』の主題歌として使用されました。また、1998年の映画『メリーに首ったけ』にも挿入歌として取り入れられ、2015年の映画『パパが遺した物語』にはマイケル・ボルトンによるカバーが使用されています。

その他のカバーアーティスト

この名曲は、多くのアーティストによってカバーされています。例えば、1970年にはシラ・ブラック、ダイアナ・ロス、B.J.トーマスなどがそれぞれ独自のスタイルで歌い上げました。さらに、フランク・シナトラやアイザック・ヘイズ、オリビア・オンなどもこの曲を取り上げており、その後も日本の今井美樹や阿川泰子、つじあやのなど、様々なアーティストが新たな解釈を加えながらカバーしています。辺りを見渡せば、近年ではフランク・オーシャンや藤井風など、現代のアーティストによっても再生されています。

まとめ

「遙かなる影」は、時間を超えて愛され続ける楽曲です。その魅力は、シンプルで美しいメロディと心に響く歌詞にあり、各時代のアーティストによって様々な形で表現されています。カーペンターズのバージョンは特に有名ですが、他のアーティストのカバーもぜひ聴いてみることをお勧めします。

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