遜色急行

遜色急行とは

遜色急行（そんしょくきゅうこう）は、急行列車として運行されるが、質の低い車両が使用されることを指す俗称です。この名称は、鉄道愛好者の間で広まり、主に車両の質が急行の水準に達していない場合に使われます。

呼称の由来

この言葉は、1978年に発刊された『railfan』誌で初めて見られ、その後、鉄道友の会会員や著者により普及しました。特に、寺本光照氏がこの表現を多用したことで知られています。さらに、遜色急行に対する対比語として「乗り得列車」が存在します。

過去の背景

1960年代から1970年代初め、日本では準急や急行列車が数多く設定されました。この期間、急行列車を運行するための専用車両が不足し、普通列車用の車両が利用される事例が増加しました。この問題の背景には、急行用の車両生産が1970年代初めにほとんど終了しており、運行需要に対する車両の絶対数が不足していたことが挙げられます。

例えば、国鉄では「波動輸送」と呼ばれる、特定の時期に運行される臨時急行において、古い車両が使用されることがありました。このため、急行料金を支払っても快適さが得られず、サービスの質が低下することから、これらの車両で運行される列車が「遜色急行」と呼ばれるようになったのです。

適用例

遜色急行にはさまざまな具体例があります。例えば、以下のような定期列車が遜色急行に該当します。

• - 「しれとこ」・「くなしり」: 旧型機械式気動車を使用した準急列車。利用者からの評判は芳しくなく、急行料金を徴収されることが不満でした。
• - 「ときわ」: 急行列車では後に455系が本来の急行用車両とされるべきところ、関東地域では普通形の電車が充当されていたため評判が悪化しました。

この他にも、様々な運行形態での遜色急行が存在しました。特に、特急列車が急行に格下げされる際に遜色急行扱いされ、その質が論争の的になった事例も多々あります。

鉄道ファンとの関わり

遜色急行は鉄道ファンの注目を集める存在でもあり、特に不満を抱かせる急行列車に対する愛情から生まれた表現です。多くのファンが、快適さや便利さを求める一方で、遜色急行の存在が鉄道の歴史や文化の多様性を反映していると考えています。車両の選定や運行方法の改革は、今後の鉄道においても重要な課題となるでしょう。

国外の類似事例

日本以外でも、他国においても質の低い車両が優等列車として使用される事例があります。例えば、韓国のムグンファ号は、元々優等列車として運行されていましたが、後に通勤列車に転用され、その際も車両の質が保たれたという報告があります。このように、遜色急行の概念は日本国内にとどまらず、世界各地で見られる現象であると言えます。

まとめ

遜色急行という用語は、ただの鉄道用語にとどまらず、鉄道の腑に落ちない点や充実感のある旅を求める利用者の心情を反映した表現でもあります。今後もこのスラングは、鉄道ファンの中で語られることでしょう。

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