ムグンファ号

ムグンファ号：韓国の国民的列車

ムグンファ号は、韓国鉄道公社（KORAIL）が運行する代表的な列車種別の一つです。高速鉄道KTXやITX-セマウルを補完する役割を担い、広域電鉄が整備されていない地方部では、普通列車としての機能も果たしながら、韓国のほぼ全路線を網羅しています。

ムグンファ号の歴史

「ムグンファ」という名称は、韓国の国花であるムクゲに由来します。1960年代にソウルと釜山を結ぶ最優等列車の名称として初めて使用されましたが、その後「再建号」に改称され、一時的に姿を消しました。現在のムグンファ号は、1977年に新設された「ウドゥン」という列車が前身で、1983年に「ムグンファ号」に改称されました。

かつてはセマウル号、ムグンファ号、ピドゥルギ号、トンイル号という4つの列車種別が存在し、ムグンファ号はセマウル号の停車しない駅にも停車しながら、都市間を結ぶ役割を担っていました。その後、ピドゥルギ号とトンイル号が廃止されたため、2004年からはムグンファ号が地方路線の最下級列車となり、普通列車としての役割も担うようになりました。

ムグンファ号の現状

2009年には、ムグンファ号と同等の列車としてヌリロが登場し、ムグンファ号を置き換える計画もありましたが、実際には一部の区間に留まりました。2023年からは新型車両ITX-マウムが導入され、順次ムグンファ号を置き換える予定となっています。

ムグンファ号の車両

ムグンファ号に使用される車両は、短距離路線用のディーゼル動車を除き、ほとんどが客車です。初期には気動車や電車も導入されましたが、1990年代末までに全て客車に置き換えられました。客車は、初期に導入されたものが新型客車に置き換えられていますが、2003年以降は新製されていません。そのため、車両の老朽化が進み、運行本数の減少や車両の減車が課題となっています。

ムグンファ号の客車は、鋼製車とステンレス車の2種類に大別できます。鋼製車は、1990年代半ばから製造された12000番台客車が主流で、「長大型」と呼ばれています。2000年頃からは、デザイン・リミット社製の新型客車も導入されました。ステンレス車は、セマウル号から格下げされたもので、かつては特室専用列車として運行されていましたが、現在は一般車として運行されています。

ムグンファ号の運行

ムグンファ号は、2025年1月現在、KORAILが旅客営業しているほとんどの地方路線で運行されています。ITX-セマウルがソウルと地方都市を結ぶのに対し、ムグンファ号は地方都市同士を結ぶ役割も担っています。

主な運行路線

京釜線
長項線
忠北線
湖南線
全羅線
光州線
慶全線
慶北線
大邱線
中央線
太白線
嶺東線
東海線
郊外線

ムグンファ号の運賃

ムグンファ号の運賃は、国土交通部が定めた上限の範囲内でKORAILが策定しています。以前は一般室と特室がありましたが、2018年12月以降は単一の座席等級となっています。

ムグンファ号の今後

老朽化が進むムグンファ号ですが、新型車両ITX-マウムの導入により、順次置き換えが進められる予定です。しかし、ムグンファ号が長年果たしてきた役割を考えると、その存在は韓国の鉄道史において重要なものと言えるでしょう。

関連項目

* 韓国鉄道公社

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