遠矢孝信

遠矢孝信：特撮界を支えた名優の軌跡

遠矢孝信（とおや たかのぶ、1944年10月21日生まれ）は、鹿児島県出身の元俳優、スタントマンです。日本大学芸術学部を卒業後、アクションチーム「ジャパン・ファイティング・アクターズ（JFA）」に参加し、数々の特撮作品で活躍しました。その後、東映テレビ・プロダクション事業部次長を務め、現在は後進の育成に尽力しています。

特撮作品での活躍

1971年、『宇宙猿人ゴリ（スペクトルマン）』（フジテレビ）で、スーツアクターとして「ゴリ博士」を演じました。メイン監督の土屋啓之助から「シェークスピア劇のようにやってほしい」という指示を受け、オーバーアクションを取り入れた独特の手振りが生まれました。この手振りはJFA内でも流行し、麻雀の際に全員が真似ていたそうです。

同年4月からは、『帰ってきたウルトラマン』（TBS）で、毎回の怪獣を演じました。同時期に『宇宙猿人ゴリ』と『帰ってきたウルトラマン』の撮影が重なり、多忙な日々を送りました。『帰ってきたウルトラマン』の現場では、『宇宙猿人ゴリ』の台本を読んでいてスタッフに注意されたというエピソードも残っています。

1972年には、『快傑ライオン丸』（フジテレビ）で敵役の「デボノバ」や「巨大ゴースン」を演じました。主人公のライバルである「タイガージョー」役の俳優が事故で急逝した際には、代役との共演で異色のエピソードが撮影されました。また、ライオン丸の魔人の合同慰霊祭では、僧侶役を務め、故人の冥福を祈りました。

1974年、『電人ザボーガー』で再び菊池英一と共演し、「中野刑事」役の菊池とも殺陣を披露しました。終盤の「恐竜軍団シリーズ」では、「悪魔ハット」役でレギュラー出演しました。悪魔ハットの役作りでは、ピープロ社長からスキンヘッドにするように言われ、抵抗したものの最終的には受け入れたそうです。

その他の出演作品

特撮作品以外にも、時代劇や刑事ドラマなど、数多くの作品に脇役として出演しました。

マイティジャック（1968年）
ウルトラマンA（1973年）
ウルトラマンタロウ（1973年）
愛の戦士レインボーマン（1972年）
太陽にほえろ! （1973年）
ファイヤーマン（1973年）
ダイヤモンド・アイ（1973年）
大江戸捜査網 （1973年）
電撃!! ストラダ5（1974年）
闘え!ドラゴン（1974年）
水戸黄門 第5部（1974年）
Gメン75（1976年）
爆走!ドーベルマン刑事（1980年）
大戦隊ゴーグルファイブ（1982年）
超獣戦隊ライブマン（1988年）
星雲仮面マシンマン（1984年）

映画では、『ゴジラ対メカゴジラ』（1974年）にブラックホール第三惑星人として出演しました。

人物・エピソード

アクション俳優である菊池英一は日大の先輩であり、JFAでも一緒だったため、共演する機会が多かったそうです。

『帰ってきたウルトラマン』では、四つ足怪獣の演技で膝を地面につけずに足の裏を地面につけて演じていました。最終回の撮影ではぎっくり腰を発症し、打ち上げに参加できなかったそうです。

現在

現在は俳優業を引退し、東映テレビ・プロダクションで後進の育成に力を注いでいます。特撮界を支えた名優として、その功績は語り継がれています。

もう一度検索