遠藤久夫

遠藤久夫

概要

遠藤久夫（えんどう ひさお、1954年10月 - ）は、日本の経済学者であり、医療経済学、医療政策論、非営利組織を専門としています。その研究と政策提言は、日本の医療制度に大きな影響を与えてきました。国立社会保障・人口問題研究所長、厚生労働省社会保障審議会会長、医療経済学会会長といった要職を歴任し、日本の医療政策における重要な役割を果たしています。

経歴

東京都で生まれた遠藤氏は、1980年に横浜国立大学経済学部経済学科を卒業しました。その後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程を1984年に修了し、1988年には一橋大学大学院商学研究科博士課程を単位取得退学しています。一橋大学では、金子郁容教授の指導を受けました。

東海大学政治経済学部助教授を経て、1997年から学習院大学経済学部経営学科教授に就任。2003年から2007年まで学習院大学学生部長を務めました。また、京都大学大学院医学研究科で非常勤講師も兼任しています。2017年4月には国立社会保障・人口問題研究所所長に就任し、2020年4月からは再び学習院大学経済学部教授として教鞭を執っています。

主な活動

遠藤氏は、厚生労働省の中央社会保険医療協議会（中医協）に委員として参加し、2008年4月から2011年3月まで会長を務めました。この間、診療報酬改定における透明性の向上や、地方の病院や勤務医の負担軽減に尽力しました。また、医療経済学会会長も務め、2012年11月には内閣社会保障制度改革国民会議会長代理に就任しています。さらに、2019年2月からは厚生労働省社会保障審議会会長を務めるなど、社会保障政策全般にわたる幅広い分野で活躍しています。社会保障審議会では、医療保険部会長、介護保険部会長、療養病床の在り方等に関する特別部会長、医療計画の見直し等に関する検討会座長など、数々の要職を歴任しています。

人物像

遠藤氏は、中医協の公益委員として、地方の病院や勤務医の負担が増加している状況を強く認識し、診療報酬の引き上げを主張しました。2008年5月には、当時の舛添要一厚生労働大臣が「中医協の診療報酬配分の決定には透明性がない」と発言したことを受け、6月4日の総会で「不透明な点はなく、大変困惑している」と述べ、中医協の透明性を擁護しました。

研究業績

遠藤氏は、医療経済学、医療政策に関する多数の研究論文や著書を発表しています。主な著書には『医療保険・診療報酬制度』（勁草書房、2005年）があります。また、医師や看護師の人手不足に関する問題や、介護保険の利用実態、医療技術の評価、混合診療の課題など、幅広いテーマについて研究を行っています。

主な論文

医師や看護師の人手不足が発生していること （特集 ここにもあった労働問題） -- （規制と労働）『日本労働研究雑誌』 49(4) （通号 561）,28～32,2007/4
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究『医療経済研究』 19(2),147～167,2007
医療技術の評価と混合診療の課題（特別企画 日本の医療制度についての諸問題,第106回日本外科学会定期学術集会記録)『日本外科学会雑誌』 107（臨時増刊号_3）,14-15,20060825
インタビュー 平成18年診療報酬改定における「患者の視点の重視」 （特集 医療のパフォーマンス評価）『病院』 65(7),553～556,2006/7
インタビュー 遠藤久夫氏（中医協・診療報酬改定結果検証部会長） 平成19年の夏頃を目途に検証結果のとりまとめを『週刊社会保障』 60(2384),34～35,2006/6/5
医療保険制度の課題 : 診療報酬制度の課題と混合診療問題の整理『日本外科学会雑誌』 107(臨時増刊号_2),51,20060305
混合診療解禁の意味と課題 （特集 混合診療は国民のためになるか）『LRL 』(8),9～12,2005/12

外部リンク

遠藤久夫 - researchmap
遠藤久夫 - J-GLOBAL
学習院大学 経済学部 | 教員紹介 | 遠藤 久夫 教授
* 研究者情報 - 学習院大学

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