選挙管理内閣

選挙管理内閣とは

選挙管理内閣とは、主に議院内閣制の国において、国政選挙が間近に迫った状況下で組閣される内閣の通称です。これは特定の名称ではなく、その役割や成立経緯によっていくつかのパターンが存在します。

選挙管理内閣が組閣される背景

選挙管理内閣が組閣される背景には、主に以下のような状況が考えられます。

政情不安な国での選挙の安定的な実施: 大統領や君主が、政治的に中立な人物を行政の長に任命し、選挙の公平性を担保する。
独裁政権から民政への移行: 民主的な選挙を実施するために、暫定的な内閣を設置する。
少数与党内閣の不安定な状況: 議会の信任を得られない少数与党内閣が、政局打開のために中立的な人物を選挙管理内閣の首相に据える。
議会任期満了前の慣例的な組閣: 与党が首相を自由に任免できる国において、議会任期満了を控えた時期に組閣される内閣を指す。

世界の選挙管理内閣の例

バングラデシュ: かつては総選挙のたびに選挙管理内閣を組閣する制度がありましたが、2011年の憲法改正で撤廃されました。
ギリシャ: 多党制の状況下で連立交渉が不調に終わった場合、大統領が最高裁判所長官に選挙管理内閣を組閣させることが慣例となっています。

日本における選挙管理内閣

大日本帝国憲法下では、組閣直後に国政選挙が行われる例がありましたが、当時は「選挙管理内閣」という呼称は用いられませんでした。日本国憲法施行以降は、衆参両院の任期満了が近い時期や、与党が解散総選挙を検討する際に、新たに首相が指名されて組閣された内閣が、そのように呼ばれることがあります。

選挙後に与党が勝利した場合、同じ首相が再任され長期政権となることが期待されるため、このような内閣は「本格政権」と呼ばれることもあります。

選挙後の結果でみる内閣の命運

衆議院議員総選挙で勝利した例: 第1次鳩山一郎内閣、第1次池田勇人内閣、第1次田中角栄内閣、第1次海部俊樹内閣、第1次森喜朗内閣、第1次岸田文雄内閣など
衆議院議員総選挙で敗北した例: 第1次石破茂内閣
参議院議員通常選挙で勝利した例: 福田赳夫内閣、第1次小泉純一郎内閣
参議院議員通常選挙で敗北し内閣総辞職した例: 宇野宗佑内閣
* 参議院議員通常選挙直前に組閣し、敗北したが内閣総辞職しなかった例: 菅直人内閣

選挙管理内閣の意義

選挙管理内閣は、政治的な中立性を保ちながら、国政選挙を公正かつ円滑に実施することを目的としています。政情不安な国や、政権交代が頻繁に起こる国において、政治の安定化に貢献する役割を担っています。

また、選挙結果によっては、その後の政権の方向性を左右する重要な存在とも言えるでしょう。

もう一度検索