外八廟

外八廟

外八廟（がいはちびょう）は、中国河北省承徳市にある避暑山荘を取り囲むように点在する寺社の総称です。ユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されており、中華人民共和国国家級風景名勝区、中国の5A級観光地としても認定されています。「八廟」と名付けられていますが、実際にはそれを上回る数の寺社が存在します。

外八廟群の寺社の特徴として、初期に建てられた溥仁寺と溥善寺を除き、そのほとんどがチベット様式で建造されている点が挙げられます。これは、チベット仏教を信仰するチベット人やモンゴル人に対する清朝の懐柔政策の一環でした。これらの寺廟を建立したのは乾隆帝であり、彼は自身を転輪聖王と見なし、チベット仏教による徳によって領土を統治しようとしたと考えられています。

以下に、外八廟に含まれる主な寺社を列挙します。

溥仁寺: 康熙52年（1713年）に建設された漢式寺院。
溥善寺: 康熙52年（1713年）に建設されましたが、現存していません。
普寧寺: 乾隆22年（1757年）にチベットのサムイェー寺を模して建てられました。
普祐寺: 乾隆25年（1760年）に建設。
安遠廟: 乾隆29年（1764年）にイリのグルジャ廟を模して建設。
普楽寺: 乾隆31年（1766年）建設。東チベット様式と漢様式を融合させた折衷様式が特徴です。
普陀宗乗之廟: 乾隆32年～36年（1767年～1771年）にかけて建設。ラサのポタラ宮を模した壮大な建造物で、「小ポタラ宮」とも呼ばれます。乾隆帝は、ラサに画工と測量士を派遣し、ポタラ宮の詳細な調査を行わせた上で建設に着手しました。
広安寺: 乾隆37年（1772年）建設。
羅漢堂: 乾隆39年（1774年）建設。
殊像寺: 乾隆40年（1775年）に五台山の殊像寺を模して建設。
須弥山福寿之廟: 乾隆45年（1780年）にチベットのタシルンポ寺を模して建設。
広縁寺: 乾隆45年（1780年）建設。

参考文献

五十嵐牧太『熱河古蹟と西藏藝術』、図版写真多数
1982年に第一書房で復刻された、1936年から4年間の調査記録。
『ヘディン探検紀行全集 11 熱河 皇帝の都』 斎藤明子訳、白水社、1980年
探検家スウェン・ヘディンによる調査紀行。

関連項目

承徳避暑山荘と外八廟
中華人民共和国の世界遺産
世界遺産の一覧 (アジア)
燕山山脈

もう一度検索