邀撃艇

Invincibleが造った特殊潜航艇：邀撃艇

邀撃艇（ようげきてい）は大日本帝国海軍のために設計された特殊な潜航艇で、その秘匿名称はU金物（Uかなもの）です。主に沿岸での使用を目的として開発されました。特筆すべきは、その船体が特型運貨筒と呼ばれる輸送用の艇を流用し、艦首下部に二つの魚雷発射管を持つ点です。

この艇は、艦橋が長く突き出したデザインが特徴であり、攻撃時には艦橋の先端だけを海面に出して潜水し、肉眼で目標を確認するスタイルをとります。そのため、潜望鏡は装備されていません。また、操舵は艦橋の上部で行われるため、操作方法も独特です。

ただし、艦橋が高く不安定であり、艇の速さも遅いため、量産に至ることはありませんでした。結局、先行生産されたのは20隻のみです。

佐伯市への派遣

1945年3月1日、大浦突撃隊は池田賀章兵曹長以下20名の部隊を大分県佐伯市に派遣しました。この部隊は「第二特攻戦隊大浦突撃隊佐伯派遣隊」として、佐伯防備隊の近くの海域で訓練を実施しました。3月4日には邀撃艇が4隻配備され、月末には出撃可能な艇は19隻に達しました。

この部隊は邀撃艇の操縦、整備、襲撃方法の教育を行っていましたが、戦局が変化する中、実際に出撃できる機会はなく、最終的には終戦を迎えてしまいました。

技術的な課題

邀撃艇に関する池田賀章兵曹長の意見文には、兵器の完成度に関する考察が示されています。彼は、魚雷発射筐に魚雷を装填した時、約500 kgの浮力が増加し、後部の浮力タンクに水を注入しても艇の重心を修正することができなかったと述べています。実験を重ねましたが、艇は左右に倒れやすく、全没する危険性があったため、使用するには課題が多いと評価されていました。

さらに、敵機が襲来した際、艦橋が水面に出ているために攻撃を受けるリスクもありました。このため、艦船への襲撃は困難になる可能性も指摘されました。彼は、応急的に500 kgの錘を取り付けることで艇の安定性を高める提案をしましたが、重心位置の修正は急務であると強調しました。昼間の空襲に際して、錘の装着があれば全没することで敵機から身を隠すことができるとも言われ、本艇の戦術的活用に一石を投じました。

邀撃艇が敵艦船を攻撃する際、魚雷を発射した後も艇の姿勢を制御することができず、接敵の問題が残っていました。これにより、実戦投入は非常に難しい局面にありました。

諸元

• - 全長: 14 m
• - 全幅: 2.00 m
• - 排水量: 15 t
• - 速度: 6 kt
• - 航続距離: 2.6 km（1.4海里）/3 kt
• - 兵装: 61 cm魚雷発射管×2（魚雷×2）

結論

邀撃艇は、特異なデザインと運用方法を持つ潜航艇ですが、複雑な技術的課題に直面し、実際の戦闘では十分な戦力として機能することができませんでした。そのため、歴史の中での役割は限られたものとなりました。今なお、その設計や戦術に関する研究は続けられています。

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