邕州

邕州（ようしゅう）とは：広西チワン族自治区南寧市の古名

邕州は、中国の歴史において、唐代から元代にかけて現在の広西チワン族自治区南寧市一帯に存在した州です。その歴史は、数々の王朝の変遷とともに、名称や管轄地域、行政区分としての役割を変えてきました。

唐代：邕州の誕生と嶺南道

邕州の歴史は、621年（唐の武徳4年）に鬱林郡宣化県に南晋州が置かれたことに始まります。その後、632年（貞観6年）に邕州と改称されました。742年（天宝元年）には一時的に朗寧郡と改称されますが、758年（乾元元年）には再び邕州の名称に戻りました。唐代の邕州は、嶺南道の邕管十州に属し、宣化・武縁・晋興・朗寧・思竜・如和・封陵の7県を管轄していました。

宋代：広南西路への所属

宋代に入ると、邕州は広南西路に属するようになります。この時代には、宣化・武縁の2県と太平寨、そして羈縻州と呼ばれる44の州と5県、11の洞を管轄していました。羈縻州は、中央政府の直接的な支配が及ばない地域を間接的に統治するための制度であり、邕州の管轄範囲の広さを物語っています。

元代：邕州路から南寧路へ

1279年（至元16年）、元朝は邕州を邕州路総管府と改めました。さらに、1324年（泰定元年）には南寧路と改称され、湖広等処行中書省に属するようになります。南寧路は、録事司と宣化・武縁の2県を管轄しました。

明代：南寧府の成立

1368年（洪武元年）、明朝は南寧路を南寧府と改めました。南寧府は広西省に属し、直属の宣化・隆安の2県と、横州に属する永淳県、そして新寧州・上思州・帰徳州・果化州・忠州・下雷州の合わせて7州3県を管轄しました。

清代：土州の管轄

清代に入ると、南寧府は広西省に属し、宣化・隆安・永淳の3県と横州・新寧州の2州、さらに土忠州・帰徳土州・果化土州の3土州を管轄しました。土州は、少数民族の自治を認めた地域であり、南寧府の多様な文化を反映しています。

中華民国：南寧府の廃止

1913年、中華民国によって南寧府は廃止され、邕州の名称は歴史の中に消えました。しかし、その名は現在の南寧市の歴史として、今もなお語り継がれています。

邕州は、唐代から元代、明代、清代、そして中華民国に至るまで、それぞれの時代において重要な役割を果たしてきました。その変遷は、中国の地方行政制度の歴史を理解する上で貴重な手がかりとなります。

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