那波氏

那波氏の歴史と系譜

那波氏（なわし）は、日本の武士団の一つであり、群馬県の伊勢崎市および玉村町を中心に栄えました。彼らは藤原秀郷の末裔と大江氏に由来する流派の2つで構成されています。元々、那波氏は藤原秀郷の子孫である那波季弘が始まりとなり、保元の乱では源義朝軍に参加しましたが、元暦元年（1184年）には那波弘澄が源義仲の側に立ち戦死したことにより一族は衰退しました。

その後、大江氏系の那波氏が那波郡を支配するようになりました。大江広元の子孫とされる那波宗元がその祖です。この家系図によると、藤姓那波氏の最後の当主であった弘澄に子がなかったため、宗元は弘澄の娘と結婚し、その名を継ぐことになりました。

鎌倉時代から室町時代

那波氏は鎌倉時代に入り、その存在感を増しました。宗元は従来の荘を支配し、彼の子・政茂は鎌倉幕府に仕える引付衆に選ばれました。『吾妻鏡』には頼広、宗元、政元などの名が見られ、頼広系が幕府に仕え続けたのに対し、宗元系は領地での管理に従事していました。

元弘元年（1331年）には那波左近将監が討伐軍に参加し、元弘の乱において那波氏は幕府側に立ちました。しかし、その後の軍事行動や政治的動向から、那波氏は一時期失脚しました。

室町時代に入ると、那波氏は鎌倉公方に忠誠を誓い、復権を図りました。この時期、上杉禅秀の乱でも那波氏は重要な役割を果たしました。特に那波の上総介宗元は、持氏の奉公として活躍し、さらには荘園の管理にも携わりました。しかしその後、永享の乱において彼は戦死し、家は一時衰退しました。

戦国時代

15世紀中頃、那波氏は山内上杉氏の家臣となります。宗俊は那波城や今村城を築城し、近隣の由良氏とは抗争を繰り広げました。天文10年（1541年）、宗俊は由良泰繁を攻撃し、戦死したとされています。その後、上杉謙信による城の攻略で那波氏は降伏し、彼らの領地は上杉氏に渡りました。

その後、顕宗は北条高広の妹を妻に迎えるなどしながら、復活を試みました。永禄9年（1566年）には由良成繁が後北条氏に付いた後、顕宗は旧領に復帰しましたが、赤石城は依然として由良方に留まりました。顕宗が那波氏の再興を試みつつ、天正11年（1583年）に家が滅んでしまう運命を迎えます。

顕宗の息子俊広は後に上杉氏家臣の大江氏の養子となり、安田氏を継ぐことになりました。こうして、那波氏の血筋は続いていく事となります。

系譜の詳細

那波氏に関する詳細な系譜は『尊卑分脈』や『系図纂要』に記載されており、秀郷流と大江流の流れがそれぞれわかります。藤原秀郷流那波氏は、藤原秀郷を祖とし、その後徐々に枝分かれしていきます。一方、大江氏流那波氏は大江広元から始まり、様々な分家が存在します。これらの系譜は、那波氏の歴史的背景や家系の複雑さを物語っています。

参考文献

• - 伊勢崎市編『伊勢崎市史』通史編1
• - 平井聖ほか編『日本城郭大系』第4巻
• - 『玉村町誌』通史編 上巻
• - 藤原文四郎『上州国盗り物語り　那波一門史』

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