那覇ホイール地区

那覇ホイール地区の歴史

那覇ホイール地区は、那覇港湾施設（那覇軍港）の南側に位置していた米軍基地です。現在では陸上自衛隊那覇駐屯地となっています。この地区は、沖縄返還協定において米軍の使用が解除され、1972年に自衛隊に移管されました。

位置と概要

那覇ホイール地区は、那覇港湾施設の背後地としてだけでなく、兵舎や学校、アメリカ総領事館なども含まれていました。周辺には那覇海軍航空施設（那覇空港）や那覇空軍・海軍補助施設が隣接しており、戦略的に重要な場所でした。

沖縄返還と自衛隊への移管

1972年5月、沖縄返還協定に基づき米軍から返還され、陸上自衛隊那覇駐屯地が開設されました。沖縄公文書館には、この移管式典の写真が残されており、アメリカ総領事館の白い建物の前で、アメリカの星条旗が日本の国旗に置き換えられる様子が記録されています。

沖縄地方気象台跡

那覇ホイール地区を象徴する建物の一つが、旧沖縄地方気象台の建物です。この建物は、戦後すぐに那覇軍港の本部として使用され、後にアメリカ総領事館となりました。

戦前の気象台

沖縄地方気象台は、1927年に小禄村字鏡水名座原に開設されました。当時最新鋭の計器を備え、気象観測情報を無線で周辺の船舶に伝達していました。気象情報は軍事作戦にとって不可欠な情報であり、1945年3月には米軍の激しい攻撃にさらされましたが、職員たちは壕に移動し、観測を続けました。しかし、1945年5月25日を最後に気象観測記録は途絶え、38人の職員のうち33人が沖縄戦で命を落としました。

戦後の利用と変遷

沖縄戦で建物は大きな被害を受けましたが、米軍が小禄半島に上陸すると、すぐに那覇軍港の司令部として利用されました。その後、アメリカ総領事館となり、1972年には那覇ホイール地区の自衛隊への引継ぎ式典に使われました。建物は1987年に取り壊されましたが、その跡地には小さなプレートが設置され、気象台の歴史を今に伝えています。現在、跡地は自衛隊基地内にあるため、一般の人は立ち入ることができません。

クバサキ・ハイスクール

那覇ホイール地区には、米軍人と軍属の子弟のための学校施設であるクバサキ・ハイスクールがありました。この学校は、沖縄市の久場崎学校地区から一部の施設が移転したもので、1957年から1964年まで運営され、スクールバスが通学に使われました。

まとめ

那覇ホイール地区は、沖縄戦から米軍統治時代、そして自衛隊へと、沖縄の歴史を象徴する場所です。旧沖縄地方気象台跡をはじめ、この地区の歴史は、沖縄の戦後史を理解する上で重要な意味を持っています。

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