那覇市立図書館

那覇市立図書館は、沖縄県那覇市に位置する市立の公共図書館です。その歴史は、第二次世界大戦で県内の図書館が全て消失したという状況から始まりました。戦後の復興期、沖縄民政府によって1947年に設置された「沖縄中央図書館」が、その前身となります。

沖縄中央図書館は、戦前の沖縄県立図書館長であった城間朝教氏の尽力により設立されました。書籍の寄贈を広く呼びかけ、内地や台湾などからも協力を得ました。また、琉球列島米国軍政府も図書館設置に協力し、上海から和書1000冊の寄贈を受けることができました。しかし、当時分館を含めても蔵書数はわずか2,700冊という小規模なものでした。

その後、沖縄中央図書館は那覇市内を転々とし、1951年には琉球列島米国民政府に移管され、崇元寺跡に移転。「情報会館」として運営されることになりました。翌年には「那覇琉米文化会館」と改称し、石川、名護の分館もそれぞれ独立した琉米文化会館となっています。なお、首里分館は首里図書館を経て、現在の沖縄県立図書館となりました。

1960年頃に、那覇琉米文化会館は与儀の新館に移転、さらに1969年には現在の那覇市立図書館の場所に移転し、新築されました。1972年の沖縄返還に伴い、那覇市へ委譲され「那覇文化センター」となりましたが、3年後の1975年には教育委員会に移管され、現在の「那覇市立図書館」へと名称を改めました。1980年代には3つの分館を設置し、現在では6つの分館を擁しています。

情報化への対応も早く、1996年には移動図書館を含む全館を繋ぐコンピュータネットワークの運用を開始しました。2001年には沖縄県立図書館と共同で「沖縄県図書館総合目録」の運用も始めています。1999年には蔵書検索が可能なウェブサイトを開設し、2007年にはウェブサイトでの予約も可能になりました。

琉米文化会館時代から「巡回文庫」として全琉100か所ものステーションに資料を貸し出しており、文化活動も活発でした。市立図書館となった翌年には移動図書館「青空号」による巡回を開始しましたが、2008年に廃止されています。

現在の那覇市立図書館は、中央図書館と6つの分館で構成されています。開館時間は平日が9時30分から19時まで、土曜日は18時まで、日曜日は中央館・繁多川館が18時まで、その他は17時までとなっています。休館日は、牧志駅前、首里、繁多川の3館が金曜日、その他の館は月曜日です。祝日と毎月第3水曜日、慰霊の日（6月23日）も休館です。1998年には貸出冊数の制限が廃止され、現在は何冊でも借りることができます。

各図書館の所在地は以下の通りです。

中央図書館: 那覇市寄宮1-2-15。
小禄南図書館: 那覇市高良2-7-1。
首里図書館: 那覇市首里当蔵町2-8-2。
若狭図書館: 那覇市若狭2-12-1。
石嶺図書館: 那覇市首里石嶺町2-70-9。
繁多川図書館: 那覇市繁多川4-1-38。
* 牧志駅前ほしぞら図書館: 那覇市安里2-1-1

特徴的な点として、繁多川図書館では業務の一部をNPO法人に委託しており、沖縄県の図書館では初の試みとなります。また、牧志駅前ほしぞら図書館は、2011年に開館した新しい分館で、再開発ビル内に位置しています。この図書館は公民館やプラネタリウムと併設されており、複合的な文化施設としての役割を担っています。

那覇市立図書館は、戦後の混乱期から地域住民の文化的な活動を支え続けてきた、重要な施設であると言えるでしょう。

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