郁久閭婆羅門

郁久閭 婆羅門（いくくろ ばらもん）

郁久閭婆羅門（拼音：Yùjiŭlǘ Póluómén、？ - 524年）は、6世紀初頭に活躍した柔然の可汗である。彼は阿那瓌の従兄にあたり、弥偶可社句可汗（びぐうかしゃこうかがん）という可汗号を持っていた。

生涯

柔然の混乱と可汗即位

520年、阿那瓌が族兄である示発の攻撃を受け、北魏へ亡命。柔然は一時的に君主不在の状態に陥った。翌521年、婆羅門は数万人を率いて示発を討伐し、これを打ち破る。その功績により、柔然の人々は婆羅門を推戴して可汗に擁立し、彼は弥偶可社句可汗と号した。敗れた示発は地豆于へ逃亡するも、最終的には殺害された。

北魏との対立

示発の乱が鎮圧されたことを知った北魏は、阿那瓌を復権させようと試みる。牒云具仁を派遣し、婆羅門に阿那瓌を迎えて国を返すよう説得を試みた。しかし、婆羅門はこれに応じず、牒云具仁に礼敬を強要するなどの傲慢な態度を示した。牒云具仁は屈服しなかったため、婆羅門は彼に莫何去汾・丘升頭ら6人の官僚と2千の兵を与え、阿那瓌を出迎えさせた。

阿那瓌は北魏への帰還を求めたが、この時、婆羅門が高車によって放逐され、十部落を率いて北魏に投降。これにより、阿那瓌は数万人の柔然人に迎えられ、可汗に復権することができた。

北魏での生活と反乱

521年10月、北魏は婆羅門を敦煌の北に位置する西海郡に居住させ、彼の部落を統率させた。しかし、522年には、部衆が飢餓に苦しみ、北魏の辺境を侵略する事件が発生。河陰県令の費穆によって鎮圧された。523年、婆羅門の部衆は再び北魏に反乱を起こし、涼州を侵略。費穆は再びこれを撃破し、部帥らを斬った。

最期

婆羅門は、3人の姉妹を嚈噠王に嫁がせようと画策し、謀反を企てた。嚈噠へ投降しようとしたが、北魏の州軍に捕えられ、洛陽へ送還された。524年、婆羅門は洛陽の館で死去。孝明帝は彼に対し、使持節・鎮西将軍・秦州刺史・広牧公の位を追贈した。

参考文献

『魏書』(列伝三十二 費穆、列伝第九十一 蠕蠕)
『北史』(列伝第八十六 蠕蠕)

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