秩石

秩石（ちっせき）とは

秩石とは、古代中国において官僚の地位を格付けするために用いられた制度のことです。秦代や漢代において、官僚の地位の上下は年俸の額によって決定され、支給される穀物の量を基準としていました。官職の年俸の額面を官秩といい、単位は「石（せき）」で表されました。この制度全体は、秩石制や秩石序列と呼ばれています。

概要

官職の地位を石で表すという概念は、『商君書』や『墨子』といった文献に記述が見られるため、その起源は少なくとも戦国時代の秦にまで遡ると考えられています。この制度は秦朝を経て漢へと受け継がれましたが、三国時代に九品官人法が制定されたことにより廃止されました。

『漢書』の「百官公卿表」や『続漢書』の「百官志」には、官職のリストとともに官秩も記載されています。例えば、「百官公卿表」によると、「万石」と称された別格の三公・大将軍を除き、最上位は九卿の「中二千石」であり、最下位は100石以下の下級官僚である「百石」・「斗食」・「佐史」でした。これらを合わせると、官僚の地位は19段階に分かれていたことになります。

ただし、「百官公卿表」にある2,000石のバリエーションは「中二千石」・「二千石」・「比二千石」の3つですが、時代によっては、「中二千石」・「真二千石」・「二千石」・「比二千石」の4つに分かれていた時期もありました。また、800石と500石はそれぞれ600石と400石へ統合されたため、「八百石」・「比八百石」・「五百石」・「比五百石」の4段階は前漢の途中で廃止されています。このように、官僚の段階の数は時代によって細かく変化しています。

また、『二年律令』の「秩律」には250石、160石、120石といった記述があり、前漢の初期、おそらく呂后2年以前には、より細かく10の位まで定めた段階が存在していました。

百官受奉例

『続漢書』の「百官志」の最後には、「百官受奉例」として、後漢におけるそれぞれの官秩の月ごとの俸給が記載されています（「比千石」は除く）。1斛を1石として年で換算すると数字にずれが生じますが、この点については古くから議論されてきました。「半銭半谷」とあり、俸給は貨幣と穀物に分けて支給されていましたが、この比率を7:3とする説があります。

関連項目

二千石 - 地方長官を指す語に転じた

出典

『漢書』
『続漢書』
『商君書』
* 『墨子』

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