郎雄

台湾映画史に輝く名優・郎雄の生涯

郎雄（ラン・シャン、1930年 - 2002年）は、台湾を代表する実力派俳優として知られています。江蘇省宿遷出身の彼は、軍の劇団で俳優としてのキャリアをスタートさせました。1970年代に中国電視公司（CTS）に入社後、数多くのテレビドラマに出演し、着実に演技力を磨いていきます。

1974年、ドラマ『一代暴君』で秦の始皇帝を演じ、高い評価を獲得。その後も精力的に活動を続け、1976年には映画『狼牙口』で金馬奨最優秀助演男優賞を受賞、実力派俳優としての地位を確立しました。

郎雄のキャリアに大きな転換をもたらしたのは、1991年のアン・リー監督作品『推手』への出演でした。60歳を超えていた高齢にも関わらず、見事な演技で第28回台湾金馬奨最優秀主演男優賞を受賞。この作品は、郎雄自身のキャリアだけでなく、アン・リー監督にとっても飛躍のきっかけとなりました。

その後も、アン・リー監督作品への出演は続き、『ウェディング・バンケット』（1993年）、『恋人たちの食卓』（1994年）と、いわゆる「父親三部作」で父親役を演じ、圧倒的な存在感を示しました。『ウェディング・バンケット』では、第30回台湾金馬奨最優秀助演男優賞を二度目の受賞しています。

映画界での活躍に加え、テレビドラマでも成功を収めました。1997年にはドラマ『夢土』で、台湾テレビ界最高の栄誉である金鐘奨最優秀男優賞を受賞。俳優としてあらゆるジャンルで高く評価されていたことがわかります。

郎雄は宗教活動や社会貢献にも積極的に取り組んでいました。多方面で才能を発揮し、社会に貢献しようとする姿勢は、彼の高い人間性を示しています。2002年5月、台北市で逝去。葬儀はローマ教皇庁中華民国主教区の単国璽枢機卿によって執り行われ、その死は多くの人々に惜しまれました。同年、第39回台湾金馬奨では終身成就賞が贈られ、アン・リー監督とグァ・アーレイから未亡人の包珈に授与されました。

郎雄のフィルモグラフィは多岐に渡り、数多くの映画やドラマに出演。代表作として挙げられるのは、『狼牙口』『推手』『ウェディング・バンケット』『恋人たちの食卓』『グリーン・デスティニー』『ダブル・ビジョン』などです。これらの作品を通して、彼は幅広い役柄を見事に演じ分け、観る者に深い印象を与え続けました。

郎雄は、高い演技力と幅広い表現力で、台湾映画史に大きな足跡を残した名優です。彼の功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくでしょう。彼の生き様と作品は、後世の俳優たちに大きな影響を与え続けることでしょう。

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