郡上一揆 (映画)

映画『郡上一揆』

『郡上一揆』（ぐじょういっき）は、2000年に公開された日本の映画で、江戸時代の宝暦年間に岐阜県の郡上藩で発生した大規模な百姓一揆を描いています。この映画は1964年に岐阜市の劇団はぐるまのこばやしひろしによって創作された戯曲『郡上の立百姓』を基にしており、農民たちの視点から歴史的な出来事を詳細に描写しています。

あらすじの概要

物語は、1754年の春、郡上藩に暮らす農民たちが年貢の徴収方法の変更に直面するところから始まります。これまでの定額の年貢から生産高に基づく検見取へと変更されることが決まり、農民たちは負担増加を危惧します。藩主の金森頼錦は贅沢な生活を送っており、藩の財政は困窮しています。これに抗議するため、約3000人の農民が郡上八幡城へ集まり、「検見取りお断り」と訴えます。藩側は一時的に妥協するものの、状況は急速に悪化していきます。

再燃する農民の抵抗

一年後、藩は再び農民に対して検見法の受入れを強要します。この事態を受けて、農民たちは江戸藩邸に直訴することを決意し、郡上の村を離れていきます。そんな中、農民たちは分裂を見せ、強硬派と妥協派に分かれてしまいます。

江戸藩邸での直訴が成功し、訴状が受理されるも、藩側の執拗な圧力が続きます。農民たちは再度、江戸へと向かい直訴状を運び込み、その結果、大規模な裁判が行われることになりました。さらにこの事態は幕閣を巻き込む事件へと発展します。

過酷な取調べと判決

直訴の結果、定次郎や仲間たちは残酷な取調べに遭い、仲間が次々と脱落していく中で、彼らの抵抗は続けられます。最終的に、郡上一揆のリーダー達には厳しい判決が下され、彼らの運命は厳しいものとなります。

映画は、定次郎とその仲間が直訴する姿を描き、農民たちの勇気や苦悩を通じて、権力に立ち向かう人々の姿を浮き彫りにしています。また、この作品は多くのエキストラを動員し、史実に基づくスケール感を持った映像表現も持ち味です。

キャストと製作背景

定次郎役を緒形直人、かよ役に岩崎ひろみ、喜四郎役に古田新太が起用され、豪華なキャスト陣が名を連ねています。この映画は岐阜県の農家出身である神山征二郎監督により作られ、その背景には多くの人々の協力があったことも特筆すべき点です。

『郡上一揆』は農民による抗議活動の歴史を後世に伝える重要な作品であり、興味深い歴史的事実を教えてくれるものであるといえます。また、制作過程においても地域の人々が強く関わり、それが作品のリアリティを生み出しています。さらに、映画が公開された4年後に、同じ監督が手がけた『草の乱』もあり、時代の波が続く中での農民の苦闘を描く重要な作品として位置づけられています。

もう一度検索