都営バス江東営業所

都営バス江東自動車営業所

東京都交通局が運営する都営バス江東自動車営業所（こうとうじどうしゃえいぎょうしょ）は、墨田区江東橋4丁目に所在し、江東区、墨田区、中央区といった都心東部エリアの主要路線を数多く管轄しています。識別記号は「L」、登録ナンバーは所在地である墨田区ではなく足立ナンバーとなっています。最寄りの鉄道駅はJR総武線の錦糸町駅、最寄りのバス停留所は江東車庫前です。

この営業所の建物は特徴的な構造をしており、上層階には墨田区立きんし保育園や都営住宅が配置され、その半地下部分をバスの車庫として利用しています。かつて車庫内には車両移動のためのトラバーサーやターンテーブルも存在しましたが、現在ではその跡が残るのみとなっています。

歴史と沿革

江東営業所の歴史は古く、1938年7月に東京地下鉄道（青バス）の営業所として開設されたことに始まります。1942年2月には陸上交通事業調整法に基づき、東京市電気局（現・東京都交通局）の管轄となりました。

都電やトロリーバスの廃止と深く関わってきました。1968年9月のトロリーバス廃止に伴い、今井無軌条電車営業所が廃止され、その代替として江東営業所今井支所が開設されましたが、この支所は1971年3月には初代江戸川営業所（現在の臨海支所）の管轄に変更されています。また、1972年11月には都電の柳島・錦糸堀営業所廃止に伴い、その代替となる新たなバス路線として、現在の都07系統や東22系統などの前身にあたる系統が運行を開始しました。特に都07系統と東22系統は、江東営業所の主力路線として地域の重要な交通網を形成しています。

建物の改築に伴い、1973年12月から1977年4月にかけて一時的に都電柳島車庫跡地へ移転していた時期もありました。

管轄する路線の変遷も多く、特に都04系統、亀21系統、錦27系統、亀23系統などは深川や葛西（後の江戸川）、臨海といった他の営業所との間でたび重なる移管が行われています。2025年4月には亀23系統が再び江戸川営業所から移管される予定です。

主要運行系統

江東営業所は、都営バスの中でも特に利用者の多い主要系統を複数担当しています。

都07系統（グリーンスター）: 錦糸町駅と門前仲町を結ぶ路線で、都営バス全系統中で最も輸送人員が多い屈指の主力路線です。都電38系統の代替である錦14系統として開業し、1992年に都市新バス「グリーンスター」としてリニューアルされました。かつては葛西営業所との共管でしたが、現在は江東営業所の単独管轄となっています。沿線には深川不動堂や富岡八幡宮などの名所があり、特に富岡八幡宮の例大祭時には迂回運行が行われます。リフト付きバスやノンステップバスが早期に導入された系統でもあります。
東22系統: 錦糸町駅と東京駅丸の内北口を結ぶ主要幹線です。都電28系統の代替として開設され、JR総武線と東京メトロ東西線を結ぶ短絡ルートとしても機能しています。都営バスの中で年間収益が最も高く、営業効率を示す営業係数も高い水準を誇ります。錦糸町駅 - 東陽町駅間は高頻度で運行されています。
錦18系統・急行05系統・直行03系統: 錦糸町駅から新木場駅を経由し、お台場エリアの国際展示場駅や日本科学未来館へ向かう路線群です。特に土休日の急行05系統は「江東区城東シャトル」と呼ばれ、鉄道では乗換えが必要な錦糸町・亀戸方面とお台場を直行で結ぶ利便性の高いアクセス路線として機能します。当初は深川営業所が担当していましたが、2005年4月に江東営業所へ移管されました。直行03系統は途中停留所を通過する速達便です。
亀21系統: 亀戸駅から丸八通りを南下し、東砂地区を経由して東陽町駅に至る路線です。袖ヶ浦から先の一部区間は比較的道幅が狭く、祭事などで迂回運行されることがあります。この路線は、開設以来、深川営業所と江東営業所の間で複数回管轄が変更された歴史を持っています。
門33系統: 亀戸駅から押上、両国、森下、門前仲町などを経由し、月島、勝どき方面を経て豊海水産埠頭に至る系統です。都電23系統の代替として設定されました。都営大江戸線と並行する区間があり、開業時に減便されています。かつて南千住営業所と共管だった時期もありましたが、現在は江東営業所の単独管轄に戻っています。
陽20系統: 東陽町駅から江東高齢者医療センターを経由して東大島駅を結ぶ路線です。2007年に開設され、2009年に東大島駅まで延長されました。循環区間を含む特徴的な運行形態をとっています。
亀23系統: 亀戸駅から西大島駅、南砂町駅を経て江東高齢者医療センターを結ぶ循環路線です。新砂地区の再開発に伴い開設され、東西線南砂町駅への都バスアクセスを提供しています。葛西→江東→江戸川→江東と、こちらも管轄が頻繁に変更されています。
江戸川競艇バス（艇10）: 平井駅とボートレース江戸川を結ぶ無料シャトルバスです。江戸川営業所との共同運行で、かつては臨海営業所や巣鴨営業所も担当していました。

過去の主な担当系統

かつては都04系統（東京駅丸の内南口 - 豊海水産埠頭）も担当していました。「グリーンアローズ」の愛称を持つ都市新バスで、都心と臨海部を結ぶ重要な路線でしたが、度重なる管轄変更を経て現在は有明営業所の単独運行となっています。

また、小岩駅と都心方面を結んでいた錦27系統は、かつて京成バスとの共同運行路線であり、江東営業所が長く担当しましたが、最終的には江戸川営業所の単独管轄となりました。

都電・トロリーバス代替路線としては、上35系統（亀戸駅 - 須田町）は短期間で廃止されました。上26系統（上野公園 - 亀戸駅、トロリーバス代替）は今井支所が担当後、臨海へ移管され、さらに亀戸駅で分割された際に江東営業所も担当しましたが、現在は青戸支所へ移管されています。都02系統の前身である516系統（大塚駅 - 錦糸町駅）も、開業当初は江東営業所が担当していましたが、他の代替路線担当に伴い短期間で撤退しています。錦11系統や東20系統なども、かつては江東営業所が担当しましたが、現在は臨海支所へ移管されています。

車両の特徴

江東営業所では、かつて特定のメーカー（UDトラックス）を指定していましたが、入札制度への移行やメーカーの事業撤退に伴い、現在はUDトラックス、日野、三菱ふそう、いすゞといった様々なメーカーの車両が配置されています。都市新バス「グリーンアローズ」用のE代車両には、発注時の仕様違いによる返品・再納車や、「足立200か」の登録第1号となった車両などのエピソードがあります。

都07系統の都市新バス化に伴いリフト付きバスやノンステップバスが早期に導入され、ハイブリッドバスも早い時期から多数導入されました。過去には江東区の観光をPRするラッピングバスや、クリスマス、金環日食、東京スカイツリー開業などに合わせた特別なデザインのシールを貼付した車両が運行されたこともあります。車椅子スペースの試行改造が行われた車両も在籍していました。

その他の特徴

江東営業所は、敷地そのものが路線の起終点となる系統を持たない都営バスの営業所としては珍しい存在です。担当路線の出入庫は、すべて錦糸町駅や亀戸駅との間の回送によって行われます。また、他の営業所（青戸支所や臨海支所など）が担当する一部系統の乗務員が、途中で食事休憩のために当営業所に入庫することもあります。

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