鄒緝

鄒緝（すう しゅう）

鄒緝（生年不詳 - 1422年）は、明代初期に活躍した官僚で、字を仲熙、号を素庵と称しました。彼の本貫は吉安府吉水県にあります。

生涯

鄒緝は洪武年間に明経の試験に合格し、その才能を認められて星子県の教諭に任じられました。その後、1398年（洪武31年）には中央に召され、国子助教として朝廷に仕えることとなります。

1402年（建文4年）、永楽帝が即位すると、鄒緝はその学識と才能を買われ、翰林院侍講に抜擢されます。さらに1407年（永楽5年）には左中允を兼任し、国子監の事務を度々代行するなど、その職務能力を発揮しました。また、彼は歴史編纂事業にも深く関わり、『太祖実録』や『永楽大典』の編纂に重要な役割を果たしました。

1421年（永楽19年）、三殿で火災が発生した際、永楽帝が臣下に直言を求めたのに対し、鄒緝は敢然と上疏を行い、北京城建設のための過酷な動員や、官吏の汚職を厳しく批判しました。しかし、彼の進言は受け入れられませんでした。同時期に時政を批判した他の官僚たちは投獄や左遷などの処分を受けたものの、鄒緝は高公望や楊復らとともに処罰を免れました。その後、同年10月には左春坊左庶子に任命されています。

1422年（永楽20年）9月、鄒緝は在官のまま亡くなりました。彼の著作として『素庵集』10巻が残されています。

死後

息子の鄒循は1430年（宣徳5年）に翰林院待詔となり、1433年（宣徳8年）には亡き両親のために贈官を求めました。宣徳帝は鄒緝が正道を説いた忠臣であったとして、吏部に贈官を命じ、その功績を称えました。

人物

鄒緝は、教育者としての経験を経て、翰林院という学術の中心で活躍した人物です。彼は、その知識と能力をもって国家の事業に貢献する一方で、不正を恐れず時の政治を批判する勇気も持ち合わせていました。彼の生涯は、官僚としての責任感と正義感に満ち溢れていたと言えるでしょう。

もう一度検索