鄧忠

鄧忠の生涯と功績

鄧忠（とう ちゅう）は中国の三国時代に活躍した魏の武将であり、父は有名な軍事指導者である鄧艾です。鄧忠は荊州義陽郡棘陽県、現在の河南省南陽市新野県出身で、彼の業績は『三国志』魏書に記録されています。

軍歴の始まり

鄧忠は甘露元年（256年）に、父親の鄧艾が段谷の戦いで功績を上げたことから、500戸の領地を与えられ、亭侯に封じられました。この段階で彼の軍事キャリアは始まり、以降の蜀漢との戦いへと繋がっていきます。

蜀漢討伐と戦闘

景元4年（263年）、鄧忠は父の鄧艾の指揮の下で蜀漢征伐に従軍します。彼は綿竹で師纂と共に諸葛瞻と戦うことになりますが、最初の戦闘では敗北を喫し、鄧艾から厳しい処罰を受ける危機に直面します。しかし、鄧忠はその後逃げ戻り、再び諸葛瞻との戦いに臨みます。今度は勝利を収め、彼らの首を斬り、その名声を高めることに成功しました。

その後、蜀漢の皇帝・劉禅は降伏し、鄧社軍は蜀を制圧するという偉業を達成します。この戦闘は鄧忠にとって重要な岐路となり、彼の軍事的才能が明らかになりました。

衰退と悲劇

しかし、鄧忠の成功は長くは続きませんでした。景元5年（264年）、父の鄧艾が「さらに呉を攻めるべきだ」という強硬な意見を表明したところ、彼が反乱を企てているとの告発がなされます。この告発によって、鄧忠と鄧艾は逮捕され、都に送還される予定となりました。しかし、その移送の途上で、鄧艾は反乱をしくじった鍾会により恨みを抱く田続に殺害され、鄧忠も父と共に命を落としました。

戦後の評価

彼の死後しばらくすると、西晋の時代において鄧艾の名誉は回復されました。そして、嫡孫である鄧朗は朝廷に登用されることになりますが、鄧忠との直接的な関係については明確にはされていません。

また、羅貫中の『三国志演義』においては、鄧忠は美丈夫として描写され、武略においても父に劣らぬ存在として登場します。彼は若い頃から鄧艾に従い、蜀漢との戦いで活躍する姿が生き生きと描かれています。

鄧忠の人生は、彼の武将としての名声とともに、時代の渦に巻き込まれた悲劇を背負ったものでした。彼の成し得たこととその果てが歴史に名を刻んでいます。

もう一度検索