鄭毓秀

鄭毓秀（てい いくしゅう）について

鄭毓秀は、清末・中華民国時代の著名な女性革命家、政治家、弁護士、そして裁判官です。彼女は広東省新安県で生まれ、裕福な家庭で育ちました。初めは儒学を学びましたが、後に天津の教会に設立された崇実女子学校に入学することで、西洋の教育を受ける機会を得ます。

留学と革命への関与

1905年には日本に留学し、そこで廖仲愷の紹介で中国同盟会に参加しました。1911年には帰国し、革命活動に積極的に関与しました。彼女は初め、袁世凱を標的とした暗殺計画に参加しましたが、計画は直前で中止され、良弼の暗殺に成功しました。

その後、鄭は勤工倹学の一環としてフランスに留学し、1914年にはパリで法律を学び、法学修士号を取得します。1919年のパリ講和会議では、中国代表団の一員として、代表団がヴェルサイユ条約に調印することを阻止するために留学生たちを組織し、調印反対を叫びました。

1925年にはパリ大学から法学博士号を取得し、これは中国史上初の女性博士とされています。この功績により、任期を終えた後、鄭は駐欧調査の委員に任命されます。

帰国後の活動

帰国後、鄭は旧友である政治家の魏道明とともに上海において弁護士事務所を開設し、中国初の女性弁護士となりました。彼女は1926年に楊杏仏が逮捕された際、彼女を庇護し、釈放を実現しました。中国国民党に参加し、反共産主義の立場をとり、党内で重要な職を歴任しました。

1927年には江蘇省の政務委員会委員となり、また同年の終わりにはフランス租界第2特別法院の院長に任命されます。それだけでなく、上海法政大学の校長にも就任しました。1928年には国民政府によって駐欧特使として派遣され、中国とフランスの関係を強化する役割を果たします。同年、立法院の立法委員にも任命され、民法草案の起草に関与し、女性の権利を保護する条文を提案しました。

晩年

鄭毓秀の人生はその後も続き、様々な委員会のメンバーとして活動しました。日中戦争の勃発後は教育部の次長に就任し、戦後には立法委員として活動を続けました。1942年には便宜上、夫の魏道明と共にアメリカに渡り、1943年には各国援華会の名誉主席に就任しました。しかし、1948年には事情が変わり、ブラジルへと移住します。

鄭の晩年は、癌との闘病や家庭の事情に悩まされることが多かったようですが、1959年にロサンゼルスで69歳の生涯を閉じました。彼女の業績は、歴史において多くの女性たちに受け継がれています。

参考文献

• - 「中國第一個女律師竟刺殺過[袁世凱]」（2011年、光明日報）
• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』（河北人民出版社、2007年）
• - 劉国銘主編『中国国民党百年人物全書』（団結出版社、2005年）
• - 東亜問題調査会編『最新支那要人伝』（朝日新聞社、1941年）

もう一度検索