酒、女、歌

酒、女、歌（Wein, Weib und Gesang）作品333

ヨハン・シュトラウス2世が作曲したワルツ「酒、女、歌」作品333は、彼の「十大ワルツ」にも数えられる傑作であり、ブラームスやワーグナーといった著名な音楽家たちにも愛されたとされています。この作品は、ジョセフ・ベルが書いた「酒と女と歌を愛さぬ者は、生涯馬鹿で終わる」という格言を基にした詩に、シュトラウス2世が音楽をつけたものです。

初演と成功

1869年2月2日、ウィーン男声合唱協会によって「仮装音楽会」で初演された「酒、女、歌」は、聴衆から熱狂的な歓迎を受けました。シュトラウス2世と妻のヘンリエッテ・チャルベツキーは、この日のために巡礼者の仮装をしていましたが、あまりの好評ぶりに何度も立ち上がって観客にお辞儀をしなければならなかったほどです。初演時には合唱版として発表され、「天にまします神様が、いきなりブドウの若枝を生えさせた」という歌詞から始まり、第1ワルツでは「さあ注げ、それ注げ……フランケン・ワインをたっぷり注げよ、なければ愛しのオーストリア産」と歌い上げられます。

オーケストラ版の登場

その後、オーケストラ版に改められ、同年3月16日にハンガリー王国の首都ペシュトでシュトラウス楽団によって披露されました。このオーケストラ版は、今日広く知られている形です。

楽曲の特徴

「酒、女、歌」は、シュトラウス2世の作品の中では珍しく、非常に長い導入部を持つことが特徴です。長大な序奏が全体の半分近くを占める異色作であり、実際には大部分がカットされ、序奏末尾のマーチ部分から演奏されることが一般的です。

ニューイヤーコンサートでの演奏

この作品は、ニューイヤーコンサートでも頻繁に演奏され、世界中の音楽ファンに親しまれています。その華やかで情熱的な旋律は、聴衆を魅了し続けています。

岩倉使節団との関わり

1872年、岩倉使節団がボストンでコンサートを鑑賞した際、ヨハン・シュトラウス2世本人の指揮による「酒、女、歌」がプログラムに含まれていました。これは、この作品が当時から国際的に高い評価を受けていたことを物語っています。

楽譜情報

ワルツ『酒、女、歌』の楽譜は、国際楽譜ライブラリープロジェクトで公開されています。

参考情報

ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団（WJSO）による解説文も参考になります。

この作品は、ヨハン・シュトラウス2世の音楽的才能を余すところなく発揮した傑作であり、今日においても多くの人々に愛され続けています。

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