酒井忠朝

酒井忠朝（さかい ただとも）

酒井忠朝は、江戸時代前期に小浜藩酒井家の世嗣として生まれた人物です。父は小浜藩初代藩主の酒井忠勝で、母は松平親能の娘です。幼名は隼人といいました。

生涯

寛永8年（1631年）に元服し、寛永12年（1635年）には小姓組番頭を皮切りに、奏者番、若年寄といった幕府の要職を歴任しました。父である忠勝は、大老も務めた幕府の重鎮であり、その跡継ぎとして、忠朝は幕閣の若手育成コースを歩みました。

『古事類苑』には、「若年寄とは、老中（年寄）に対する称で、若年の老中の意味である。土井利隆や酒井忠朝のように、大老の子が父に従って政治に参画する際、俗に若年寄と称した」とあります。これは、土井利勝の後継者である利隆と、酒井忠勝の後継者である忠朝が、将来の幕府を担う若手官僚として育成されていたことを示しています。彼らの出世はほぼ同時期であり、酒井家だけでなく、幕府からも公に後継者として認められていた上での政治活動でした。また、忠朝は学問を林羅山に学んだと伝えられています。

しかし、慶安2年（1649年）に、忠朝は突然廃嫡され、勘当されてしまいます。跡継ぎは末弟の忠直に変更されました。廃嫡の理由ははっきりとはわかっていませんが、他の幕閣との深刻な対立があったとも、父である忠勝の勘気に触れたとも言われています。また、忠勝や酒井家としては、廃嫡は本意ではなかったという説もあります。

寛文元年（1661年）、忠朝は小浜酒井家の領地である安房国市部村に移り住みますが、勘当は解かれることなく、翌年同地で亡くなりました。遺体は安房で荼毘に付され、小浜の酒井家菩提寺である空印寺に埋葬されました。そこには、小浜藩歴代藩主と同格の墓が現存しています。

その後、小浜藩を継いだ弟の忠直は、忠朝の長男である忠国に対して、小浜藩の安房領などから1万石を分知し、勝山藩を立てました。この結果、忠朝の子孫は大名として存続することになりました。

系譜

父：酒井忠勝（1587年 - 1662年）
母：松平親能の娘
正室：おまん - 松平定行の長女
四男：酒井忠国（1651年 - 1683年）
八男：松平定安（1662年 - 1687年）
生母不明の子女
五男：酒井忠雄
六男：野々口為重
女子：仙姫 - 鏡智院、松平定頼の養女、松平直明正室
女子：酒井忠直養女 - 亀井政直継室
女子：青山景英室

酒井忠朝が登場する作品

漫画
よしながふみ『大奥』（白泉社）

テレビドラマ
* 大奥〜誕生［有功・家光篇］（演：鈴木伶奈）

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