酒人内親王

酒人内親王　— 光仁天皇の皇女

酒人内親王（さかひとないしんのう）は、光仁天皇の皇女であり、母は皇后の井上内親王です。彼女は伊勢斎王としての役割を果たした後、桓武天皇の妃となりました。彼女の人生は、さまざまな事件と出来事が重なり合った波乱に満ちたものでした。

略伝

酒人内親王は、宝亀元年（770年）の11月6日に三品に昇進しました。その後、宝亀3年（772年）には、母の井上内親王が光仁天皇を呪詛したとの理由で皇后から廃され、さらに弟の他戸親王も皇太子の座から外される事態が発生しました。この一連の事件の中で、酒人内親王は11月13日に僅か19歳で伊勢の斎王に任命され、潔斎のために春日斎宮に籠もることになりました。

宝亀5年（774年）には、潔斎を終えて伊勢へ向かい、翌年4月には井上内親王と他戸親王が幽閉先で急死したことにより、彼女は帰京しました。帰京後、異母兄の山部親王（後の桓武天皇）の妃となり、政治的なつながりが進むこととなります。光仁天皇や桓武天皇は、聖武天皇の血筋との結びつきを求めていたとされています。

酒人内親王には、宝亀10年（779年）に朝原内親王が生まれました。この朝原内親王も後に斎王に任命され、酒人内親王は祖母、母、そして娘の計3代にわたって斎王の役割を担ったことになります。彼女にとっての悲劇は、弘仁8年（817年）に朝原内親王が亡くなったことで、内親王は一人娘の死を深く悲しんだと伝えられています。

晩年の弘仁14年（823年）の1月20日、空海に遺言状を代作させ、その中で自らの死後の葬儀のあり方や所領の分配を指示しました。彼女は76歳で世を去り、その死によって聖武天皇の系統に属する皇族が完全に途絶えました。彼女の生涯は、8代にわたる天皇の治世とともにあり、政争による波乱の連続であったといえるでしょう。

人物

酒人内親王は『日本後紀』逸文でも彼女の薨伝が記されており、天皇に最も寵愛された存在であったことが示唆されています。彼女の性格について、「婬行」という言葉が一般的には「性的にしまりがなかった」という解釈がなされていますが、転じて「美しく舞う」という意味もあるため、豪華な生活を好んだ女性だったとも考えられます。彼女は華やかな催しを楽しみ、富裕な仲間と交わることが多かったとされています。

系譜

• - 父：光仁天皇
• - 母：井上内親王
• - 弟：他戸親王
• - 夫：桓武天皇
• - 子ども：朝原内親王

振り返ってみると、酒人内親王の人生は、皇族としての宿命を背負いながらも、さまざまな困難を乗り越え、重要な歴史的役割を果たしてきたことがわかります。数多くの出来事が彼女の人生に影を落としましたが、その存在は日本の歴史において大変重要なものでした。

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