酒田行進曲

酒田行進曲について

「酒田行進曲」とは、山形県酒田市が1933年に市制施行時に制定した市民歌です。この曲は、市の代表的な歌として、多くの市民に親しまれています。作詞は山口喜市、作曲は辻順治が担当しました。酒田市が実際に市として成立したのは、1933年4月1日のことです。この日は、飽海郡酒田町が市制を整備し、酒田市が新しく生まれた記念すべき日でもありました。

市民歌の策定においては、前もって行われた歌詞の募集が重要な役割を果たしました。山形新聞社の後援のもとで、1933年2月26日から「酒田市民歌」と「最上川小唄」の二部門で懸賞募集が行われ、結果、山口喜市の歌詞が選ばれました。この選考は、3月24日に発表されました。小唄の作詞者として選ばれたのは、歯科医を営む斎藤富子（筆名：阿波勝戸）であり、これは彼女の音楽キャリアの出発点ともなりました。市民歌の作曲を依頼された辻順治は、陸軍戸山学校軍楽隊の楽長を務めた後、西の音楽界で著名な作品を手掛ける人物です。

市制施行とその記念式典

市制施行を祝う式典は、1933年4月1日の午後に行われました。この式典では、山形新聞社によって提供された宣伝車が先導し、酒田高等女学校の生徒たちが先頭に立つ旗行列が行われました。その行列に伴い、「酒田行進曲」が演奏され、参加者全員が地域の誇りをもって歌いあげました。歌唱は、市民歌の方は後に松平晃として知られる池上利夫が担当し、小唄の方は渡辺はま子が担当しました。渡辺はこれが彼女のデビュー曲となったことで、その後の活躍が期待されることとなりました。

戦後の動向

戦後になると、1953年には市民歌を再度制定する動きが浮上しました。この際、作曲家の高木東六が酒田に招かれ、市立公民館建設資金のためにコンサートが開催されましたが、結局その新しい市民歌の構想は具体的には進展しませんでした。しかし、元々制定されていた「酒田行進曲」は、その地位を保持し続けました。これにより、市民歌としての役割を引き続き担っているものとみられています。

1983年に市制50周年を記念して作成された合唱組曲「風光歌」も新しい市民歌の提案ですが、その後も議会での新市民歌制定の質問は幾度となく行われました。しかし、特に進展することなく、2005年に市の合併が行われた際も、既存の「酒田行進曲」の地位は依然として不明確なままとなっています。参画した町歌についても、明文化された取り決めは存在しません。

現在と将来の展望

2024年には、山形大学大学院の院生が主催するコンサートで「酒田行進曲」が取り上げられる予定です。市民歌としての役割だけでなく、地域文化としての価値も引き続き認識されています。このように、「酒田行進曲」は地域のアイデンティティを象徴する楽曲として、今もなおその重要性を保っているのです。今後も地域の人々によって歌い継がれることで、酒田市の文化はさらに深まることでしょう。

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