釈迦族

釈迦族とは

釈迦族（シャーキヤ族）は、古代北インドに存在した部族であり、仏教の開祖であるゴータマ・シッダールタ（釈迦）が属していたことで知られています。彼らは、現在のインドとネパールの国境地帯、ヒマラヤ山麓に位置するカピラヴァストゥを都としていました。

部族の出自と政治

釈迦族は、サンスクリット語で「有能」を意味する「シャーキヤ」という言葉に由来するとされます。伝説によれば、アーリヤ人のクシャトリヤ王統に連なるとも、日種に属するとも言われています。また、漢書には、釈迦族はサカ族と同一起源であるという説も記されていますが、年代的に矛盾が生じるため、異説も存在します。

釈迦族は、専制的な王を持たず、部族民の代表が集まって政策を決定するサンガという政治形態を採用していました。この民主的な政治体制は、当時の他の部族とは一線を画していました。

釈迦族の系譜

釈迦族の系譜は、経典によって異なる部分もありますが、『仏本行集経』によれば、この地に稲田を開いた大地主がその始まりとされています。

釈迦の祖父である師子頬王には、四男一女がいたとされ、その子孫が釈迦族を形成しました。釈迦の父は浄飯王（シュッドーダナ）であり、彼のもとにゴータマ・シッダールタが誕生しました。

釈迦族の逸話と滅亡

釈迦族は、非常に自尊心が強い民族であったと伝えられています。釈迦が成道後、カピラ城に帰った際、身分が低いとされた者が先に弟子入りしたことに、釈迦族の王子たちは不満を抱きました。釈迦は、この出来事を通して、釈迦族の高慢な心を打ち破ったとされています。

しかし、この自尊心の強さが、後に釈迦族の滅亡を招くことになります。コーサラ国のヴィドゥーダバ王子は、釈迦族に侮辱されたことを恨み、父王から王位を奪った後、大軍を率いてカピラヴァストゥを攻め、釈迦族を皆殺しにしたと伝えられています。

釈迦族のその後

釈迦族は、ヴィドゥーダバ王によって滅ぼされたとされていますが、異説も存在します。一部の王族が生き残り、ヒンドゥー教に改宗して釈迦族は存続したという伝承もあります。また、生き残った男子は、それぞれ他の国で王になったとも言われています。

現在でも、インドの一部には釈迦族を自称する人々が居住しています。ネパールのパタンには、釈迦族の末裔とされるサキヤ・カーストという職人たちが存在し、仏像彫刻を通して古代仏教の伝統を守っています。

まとめ

釈迦族は、古代インドにおいて独自の文化と政治体制を持っていた部族であり、仏教の開祖である釈迦を輩出したことで歴史に名を刻みました。しかし、その誇り高い性格が悲劇を招き、最終的には滅亡したと伝えられています。彼らの歴史は、仏教の歴史と深く結びついており、今日においても様々な形で語り継がれています。

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