館山藩

館山藩の歴史と変遷

館山藩（たてやまはん）は、千葉県館山市に存在した藩で、安房国を領有していました。藩は主に二つの時代に分けられ、まず戦国時代から江戸時代初期にかけては里見家が藩主を務め、その後は稲葉家の統治下に置かれました。館山藩の歴史は、戦国から幕末に至るまで多くの出来事に彩られています。

里見家時代の幕開け

戦国時代に安房国で力をつけた里見氏は、上総国にも勢力を広げました。館山城は、里見義頼が天正8年（1580年）頃に築城を開始し、その後義康が改修を加えました。里見家は豊臣政権下での大名として、安房一国を治め、義康は文禄の役でも貢献し、所領を増やしました。

藩主としての里見義康

天正18年（1590年）、義康は小田原征伐に参加し、独自の政令を発したために豊臣秀吉の怒りを買いましたが、安房国の領有は維持されました。その後、義康は館山城を拠点として領国の整備を進めました。彼の死後、息子の忠義が藩主となるも、忠義は一族の改易に連座し、館山藩は廃藩となりました。

廃藩後の経緯と藩領の解体

館山藩は元和4年（1618年）に廃藩となりました。その後、安房国は細分化され、旧藩の持つ領地は他の藩や幕府の手に渡りました。新たに東条藩や安房勝山藩、北条藩などの小藩が設立されるものの、いずれも短命でした。安房勝山藩は寛永6年に除封され、その後、酒井家によって再び立藩されました。これにより、安房勝山藩が唯一幕末まで存続しました。

稲葉家時代の始まり

館山藩の歴史は、天明元年（1781年）に稲葉正明が藩主となったことで新たな章を迎えます。正明は、加増を受けて藩を築き直しましたが、後に出仕停止処分を受け、藩は混乱します。彼の後を継いだ正武は近代化のため、館山陣屋の設立を推進しました。

正巳の時代には、幕末の動乱の中でも優れたリーダーシップを発揮し、様々な役職を歴任しました。新政府への恭順を決めた正巳は、流れの変わりゆく時代において藩を維持しようと奮闘しました。

明治維新とその後

明治元年に戊辰戦争が起きると、正巳は幕府の役職を全て辞し、新政府への支持を示しました。明治4年（1871年）には館山藩が廃止され、新たに館山県が設立され、正善が県知事となりました。その後、館山県は木更津県に編入され、土地の統治は続きました。館山藩の名は消えましたが、その歴史は地域の文化と伝統として色濃く残っています。

歴代藩主の一覧

1. 里見家 12万2000石 外様
- 里見義康
- 里見忠義

2. 稲葉家 1万石→1万3000石→1万石 譜代
- 稲葉正明
- 稲葉正武
- 稲葉正盛
- 稲葉正巳
- 稲葉正善

館山藩の歴史は、藩主の知恵や地域の状況に応じて変化し続けました。里見家と稲葉家の二大名家による統治のもと、多くの伝説や文化が生まれ、今なお地域の重要な一部として語り継がれています。

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