重慶南路 (台北市)

重慶南路は、台北市の中心部を南北に貫く幹線道路です。沿道には台湾総統府をはじめ、総統官邸、法務部、司法院、第一銀行、台北市立第一女子高級中学（北一女中）など、台湾の政治・経済・文化を代表する重要な施設が数多く存在します。南端は中正橋に接続し、北端は重慶北路と台北駅に接しています。台北駅周辺は、デパートやホテル、予備校などが集まる商業地区として賑わっています。

歴史を紐解くと、重慶南路は清朝統治時代には「府前街」、日本統治時代には「本町通り」と呼ばれていました。現在の「重慶南路」という名称は、国共内戦を経て台湾に遷都した際、重慶国民政府の抗戦精神にちなんで名付けられました。

住所表記は、「重慶南路一段」「重慶南路二段」「重慶南路三段」と区分されています。また、「凱達格蘭大道」「衡陽路」「宝慶路」などの主要道路と交差し、「中正区」「博愛特区」といった行政区画とも重なっています。

かつての書店街としての賑わい

重慶南路は、かつて「重慶南路書店街」として名を馳せていました。三民書局、商務印書館（台湾商務印書館）、東方出版社、金石堂書店といった著名な書店が軒を連ね、多くの人々が書籍を求めて訪れていました。

重慶南路の書店街は、日本統治時代の新高堂書店や台湾書籍などをルーツとし、1950年代から1980年代にかけて黄金期を迎えました。しかし、21世紀に入ると出版不況や都心部の商業エリアの変化などの影響を受け、書店の閉店や移転が相次ぎました。最盛期には100軒以上もの書店が軒を連ねていましたが、2010年代末には10軒程度にまで減少してしまいました。

書店街の衰退と新たな潮流

重慶南路の書店街の衰退と並行して、台北市内の別のエリアに新たな書店街が形成されつつあります。その代表的な例が、「温羅汀」（ウェンルオティン）と呼ばれるエリアです。温羅汀は、台湾大学や台湾師範大学の近隣に位置する学生街で、独立系の書店や古書店が集まり、新たな文化の発信地となっています。重慶南路の書店街は、時代の変化とともにその役割を終えつつありますが、台北の書籍文化は温羅汀を中心に新たな展開を見せています。

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