重用区間

重用区間とは

重用区間とは、道路法において、複数の道路路線が同一の区間を共有している状態を指します。道路法では、道路そのものではなく、道路のルートを指すため、一本の道路が複数の路線の役割を果たすことが認められています。このため、一つの道路区間に複数の路線番号が存在することがあります。

道路の「総延長」は、重用区間を含めた全体の長さを指し、「実延長」は重用区間を除いた実際の道路の長さを指します。

一般的な案内表示

道路標識や地図では、複数の路線が重なる場合、原則として最も優先度の高い路線番号のみが表示されます。例えば、国道同士が重複する場合は番号の小さい方が、国道と県道が重複する場合は国道の方が優先されます。しかし、場所によっては複数の路線番号が併記されることもあります。

一般国道の重用区間

日本の一般国道網は、山岳地帯や市街地など地形的な制約から、複数の国道が同じルートを通らざるを得ない場合があります。経済的な観点からも、同じ道路を複数の路線で共有することが合理的であるため、重用区間が多数存在します。

一般国道の総延長は77,257kmですが、実延長は67,427kmであり、その差である9,830kmが重用区間の合計です。重用区間は、多くの場合わずかな区間ですが、路線によっては半分以上が他の国道と重複しているケースもあります。

重用する路線の数は必ずしも2路線とは限らず、3路線や4路線が重複している場所もあります。自治体によっては、すべての路線番号の標識を設置している場合もありますが、一般的には最も優先度の高い路線番号の標識のみが設置されています。

複数の国道が重用する例

4本の国道が重用する例
奈良県橿原市（国道24号、国道165号、国道166号、国道169号）
3本の国道が重用する例
秋田県由利本荘市（国道105号、国道107号、国道108号）
福島県南会津町（国道121号、国道352号、国道400号）
栃木県鹿沼市（国道121号、国道293号、国道352号）
愛知県新城市（国道257号、国道420号、国道473号）
岐阜県高山市（国道41号、国道158号、国道472号）
滋賀県長浜市（国道8号、国道303号、国道365号）

日本国外の事例

重用区間は日本だけでなく、海外にも存在します。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、州間高速道路、国道、州道の間で重用区間が多数存在します。特に大都市圏では、州間高速道路同士が重複する区間が多く見られます。以下にいくつかの例を示します。

イリノイ州シカゴ：州間高速道路90号線と州間高速道路94号線
ジョージア州アトランタ：州間高速道路75号線と州間高速道路85号線
インディアナ州インディアナポリス：州間高速道路70号線と州間高速道路65号線
ケンタッキー州とオハイオ州間：州間高速道路75号線と州間高速道路71号線
ウィスコンシン州とイリノイ州間：州間高速道路90号線と州間高速道路39号線

まとめ

重用区間は、道路網の効率的な運用において重要な役割を果たしています。複数の路線が同じ道路を共有することで、道路建設のコストを削減し、地域の交通網を効率的に整備することができます。しかし、複数の路線番号が重複することで、利用者にとってわかりにくくなる側面もあります。そのため、道路標識や地図などでの適切な情報提供が求められます。

この記事を通して、重用区間についての理解が深まれば幸いです。

参考文献

浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』（初版）日本実業出版社、2015年10月10日。
ロム・インターナショナル（編）『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。

関連項目

現道
新道
旧道
古道
廃道
バイパス道路
抜け道

外部リンク

国土交通省文書における使用例 (PDF)
* 川崎市道路統計書・用語の解説 (PDF)

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