重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律

重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律について

この法律は、重要施設の周辺地域における小型無人機（ドローンなど）や特定航空用機器の飛行を禁止することで、テロや犯罪行為を未然に防ぐことを目的としています。2015年の首相官邸ドローン落下事件を契機に、ドローン等の飛行ルールを定める必要性が高まり、航空法改正と並行して制定されました。

制定の背景

2015年4月22日に発生した首相官邸へのドローン落下事件は、ドローンが悪用される危険性を社会に示しました。この事件を受け、ドローン等の飛行ルール策定が急務となり、まずは改正航空法で飛行ルールが定められました。その後、重要施設上空での飛行を禁止するために、この法律が制定される運びとなりました。

制定の経緯

• - 2015年6月12日：第189回国会に法案が提出。
• - 2015年7月9日：衆議院で可決（修正あり）。修正点には、対象施設の追加や対象となる機器の拡大などが含まれます。
• - 2016年3月11日：参議院で可決（修正あり）。
• - 2016年3月17日：衆議院で可決、成立。
• - 2016年3月18日：公布。
• - 2016年4月7日：一部規定を除き施行。
• - 2016年5月23日：残りの規定が施行。

法改正

• - 第1次改正（2019年）： 防衛施設が対象に追加され、法律の題名が変更されました。
• - 第2次改正（2020年）： 空港が対象に追加され、空港周辺でのドローン飛行が厳しく規制されました。

法律の内容

禁止行為

対象施設周辺の上空での小型無人機等の飛行は原則として禁止されています。ただし、以下の場合は例外として、都道府県公安委員会への通報を行うことで飛行が認められます。

• - 対象施設の管理者または同意を得た者による飛行
• - 土地の所有者または占有者による飛行
• - 国または地方公共団体の業務遂行に必要な飛行

小型無人機とは

人が乗ることができない、遠隔操作または自動操縦が可能な航空機全般を指します（ドローンなど）。

特定航空用機器とは

以下のものが該当します。

• - 操縦装置を有する気球
• - ハンググライダー（原動機付き含む）
• - パラグライダー（原動機付き含む）
• - 回転翼で浮揚し操縦可能な機器（航空機を除く）
• - 下方噴射で浮揚し操縦可能な機器（ホバーボード、ジェットパックなど）

対象施設について

以下の施設とその周辺300メートルが対象となります。

• - 国会議事堂、議員会館、衆参議長公邸
• - 内閣総理[[大臣]]官邸、総理・官房長官公邸
• - 皇居、御所
• - 危機管理行政機関の庁舎
• - 最高裁判所庁舎
• - 政党事務所（要請があった場合）
• - 外国公館等
• - 原子力事業所
• - 空港（国土交通大臣が指定する空港）

これらの施設は、それぞれ指定権者が指定し、官報で告示されます。また、指定の必要がなくなった場合は、速やかに解除されます。

違反に対する措置

警察官、皇宮護衛官、海上保安官は、違反飛行に対して退去命令を出すことができ、従わない場合は、機器の妨害や破損などの必要な措置を取ることができます。

対象外国公館等の指定履歴（一部）

過去には、G7関連の会合開催場所や、アメリカ大統領来日時の訪問先などが一時的に対象施設に指定されました。

その他の規定

• - 対象施設に関する地図の作成と公表
• - 指定・解除の官報への告示

関連情報

この法律は、ドローンなどの無人機が社会に浸透する中で、安全を確保するための重要な法律です。違反すると罰則が科せられるため、ドローンを飛行させる際は、事前に飛行場所が規制対象でないか確認することが重要です。

関連項目

• - 首相官邸無人機落下事件
• - 横須賀基地ドローン侵入撮影事件
• - 緊急用務空域
• - 航空法
• - マルチコプター

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