野上眞宏

野上眞宏（のがみまさひろ）

1947年東京都生まれの写真家、マイク野上としても知られています。彼のキャリアは、日本の音楽シーンとニューヨークの都市風景を独自の視点で捉えた写真作品で彩られています。

生い立ちと初期の活動

カメラ好きの父親の影響を受け、幼少期から写真を趣味としていました。立教大学入学後、写真部に入部しますがすぐに退部。しかし、社会学部で出会った細野晴臣との交流を通じて、再び写真の世界へと足を踏み入れます。細野をはじめ、松本隆、柳田ヒロといった、後に日本の音楽シーンを牽引するミュージシャンたちとの交流を深め、彼らの演奏風景や日常を写真に収め始めました。

1960年代後半には、細野や松本が在籍したバンド、バーンズやエイプリル・フールの活動を記録。また、自宅やリハーサルスタジオでジャムセッションを主催し、ミュージシャン同士の交流を促進する役割も担いました。同時期には、スージー・クリームチーズ名義でサイケデリック照明グループとして舞台照明を手がけるなど、多岐にわたる活動を展開しました。

プロとしての活動

1969年、プロの写真家になることを決意し、内定していた企業への就職を辞退。演劇の世界にも足を踏み入れ、ミュージカル『ヘアー』日本版や、東京キッドブラザース公演の舞台裏などを撮影しました。1970年からは、六本木の撮影スタジオ「アートセンター」に勤務。デザイン集団「WORKSHOP MU!!」との出会いも、彼のキャリアに大きな影響を与えました。

旧知のミュージシャンたちの撮影も継続し、中でも、はっぴいえんどの活動は、デビュー前のヴァレンタイン・ブルー時代から解散までを記録。アルバムジャケットやライブ写真、プライベートショットなど、数多くの作品を残しました。

1971年からは、写真家・鋤田正義に師事し、アシスタントとして様々な撮影現場で経験を積む傍ら、自身の日常をスナップショットで記録する「写真日記」を実践しました。

海外での活動と帰国

1972年にフリーランスとして独立。WORKSHOP MU!!がデザインを手がけたレコードジャケットの撮影を担当しました。1974年からは拠点をアメリカに移し、ロサンゼルス、ヴァージニア、ニューヨークを転々としながら、都市の風景を主題とした作品を制作。現像所のマネージャーとして働きながら、自身の作品を追求しました。アメリカでは、リトル・フィートやマリア・マルダーなどのライブ写真も撮影しています。

1994年から2000年まで日本に帰国。ニューヨークで撮影した作品をまとめた初の写真集『New York – Holy City』を出版。また、『レコード・コレクターズ』誌でエッセイ『はっぴいな日々』を連載し、1960年代から1970年代の記憶を綴りました。ニューヨークのギャラリー「OKハリス」で個展を開催するなど、国内外で高い評価を得ました。高橋正実との写真ユニット「CLOWN」としても活動し、渋谷に集うコギャルたちのスナップ写真を撮影しました。

近年の活動

2000年以降は再びニューヨークを拠点に活動を続け、写真作品の制作と並行して、過去の未発表作品をまとめた写真集の出版や、東京での個展開催など、精力的に活動しています。2014年には、4000枚を超える写真点を収録したiPad写真集アプリ『野上眞宏のSNAPSHOT DIARY』を発売。2015年には拠点を東京に移し、ガールズバンド「The Suzan」のドキュメンタリー映画を制作するなど、新たな挑戦を続けています。2016年には、CLOWN名義で1999年に撮影した作品をまとめた写真集『SHIBUYA1999』を出版しました。

主な作品

写真集『New York – Holy City』
ムック『はっぴいな日々』
写真集『HAPPY SNAPSHOT DIARY：Tokyo 1968-1973』
写真集『When New York Was Sexier』
写真集『SHIBUYA1999』（CLOWN名義）
映画『The First Step featuring The Suzan』

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