野付湾

野付湾の紹介

野付湾（のつけわん）は、北海道の東部に位置し、根室海峡である野付水道に面した湾です。この美しい湾は、北海道本島とそこから延びる野付半島に囲まれた形になっています。湾自体は南側に開かれており、さらに根室[[湾]]へと続いています。また、尾岱沼（おだいとう）とも呼ばれるこの地域は、野付風蓮道立自然公園に属しており、2005年には野付半島と共にラムサール条約に登録されました。

「のつけ」の語源はアイヌ語に由来し、あごを意味する「ノッケウ」に関連しています。これによって、地域の歴史と文化的背景が反映されていると言えるでしょう。

地理的特徴

野付湾は、野付郡別海町の南西端から戸川河口右岸を結ぶ線から陸側の海域に広がっています。その湾口の幅は4.33km、面積は約57km²、また湾内の水深は最大で4.3mと浅めです。このように水深が浅いため、厳冬期には湾内が結氷することもあります。海岸線は野付半島の付け根部分を含み、湾奥部は標津町に位置し、その他の地域は別海町となっています。

湾内には堆砂による浅瀬や湿地、小島が点在しており、さまざまな生態系が形成されています。大きな河川は流入していませんが、当幌川や飛雁川など小さな河川が流れ込んでいます。湾の南西部には尾岱沼漁港や道の駅おだいとうがあり、観光スポットとしても知られています。さらに、近くには尾岱沼温泉も湧き出し、訪れる人々に癒しの場を提供しています。

湾内の生態系と漁業

尾岱沼港からは観光船や漁船が運行しており、訪れる人々は美しい風景やゴマアザラシなどの海の生き物を観察することができます。湾内の浅い水深のおかげで、アマモの藻場が形成されており、ここには多くの魚介類やそれを捕食する海鳥たちが集まります。

特にホッカイエビ（ホッカイシマエビ）は、この湾内での漁業の主役であり、毎年6月初旬から8月中旬、さらに9月中旬から11月末にかけて漁獲されています。このホッカイエビ漁は水深1〜2mの浅い場所で行われており、アマモを守るためにスクリューを使用しない打瀬舟による漁法が採用されています。これらの漁法は、地域の風物詩としても知られています。

かつて、野付湾周辺は牧場として開発され、これによって治水能力が低下し、淡水の流入が増加した結果、土壌の栄養分が低下し、ホッカイエビの漁獲高が著しく減少しました。しかし、20年以上にわたって植樹や資源保護に取り組んできたおかげで、最近では漁獲量も回復しつつあります。こうした努力は、自然環境の保護と共に地域経済の活性化にも寄与しています。

このように、野付湾は多様な自然環境と豊かな生態系を有しており、漁業や観光としても注目される場所です。

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