野伏翔

野伏翔（のぶし しょう）は、日本の演出家、映画監督であり、自身が主宰する劇団夜想会で数々の舞台作品を手がけてきました。茨城県古河市出身で、獨協大学外国語学部英語学科を卒業後、文学座演劇研究所で演劇を学びました。1982年には劇団夜想会を設立し、以来、100を超える作品の演出に携わっています。

劇団設立当初は、シェイクスピア、サルトル、チェーホフといった新劇の巨匠たちの作品を数多く演出し、確かな演出力で高い評価を得ました。その後、ミュージカルや現代劇など幅広いジャンルにも挑戦し、その才能を開花させました。

1993年には、バンダイ主催のミュージカル「美少女戦士セーラームーン 外伝・ダークキングダム復活篇」を演出。1995年には、新宿のシアターサンモールで、大日本帝国海軍の飛行予備学生を題材にした「同期の桜」を演出しました。2003年には、同作品を靖国神社の遊就館前に特設舞台を組んで上演し、大きな話題となりました。

近年では、東京都青少年・治安対策本部が主催する「暴力団排除実演」や「特殊詐欺被害防止手口実演」などの演出も手掛け、社会啓発活動にも積極的に取り組んでいます。2014年からは、拉致問題対策本部主催の拉致問題啓発舞台劇「めぐみへの誓い-奪還-」を全国各地で上演し、演出を担当。この舞台は、拉致問題の深刻さを広く伝えるとともに、被害者救出への強いメッセージを込めた作品として、大きな反響を呼びました。

また、2014年には、小学館の冊子「もうすぐ幼稚園」の付録DVDに掲載されたアニメ「うさぎのおめめ」の作・演出も担当。このアニメはYouTubeで180万回以上の視聴回数を記録するなど、幅広い世代に支持されています。

2016年からは、エフエム世田谷で放送されている「夜想会ラジオシアター」で、ラジオドラマ「日本の神話」「太宰治のお伽草紙」「ちょっと泣ける日本昔話」などの演出も担当。ラジオドラマを通して、日本の文化や文学の魅力を伝えています。

俳優としても活動しており、押井守監督の映画『トーキング・ヘッド』（1992年）に出演しています。さらに、空手道、少林寺拳法、剣道など、武道にも精通しており、その腕前は計十段に達します。文武両道に秀でた人物として、各方面から注目を集めています。

映画監督としては、『MUSASHI』（1996年）、『ガッツ伝説 愛しのピット・ブル』（2006年）、『初恋 夏の記憶』（2009年）、『とびだせ新選組！』（2013年）、『めぐみへの誓い』（2020年）などを監督。舞台演出では、劇団夜想会の本公演を中心に、数多くの作品を手がけています。

代表的な舞台作品としては、「雨の葬送」「夜明けのフーガ」「楽屋」「ゴドーを待ちながら」「時の崖」「カンガルー」「黄昏のメルヘン」「焼け跡の女侠」「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」「リア王」「メアリースチュアート」「三人姉妹」「カッコーの巣の上を」「奇跡の人」「同期の桜」「はつかねずみと人間」「ハムレット」「るつぼ」「十二夜」「遥かなる都」「ジュリアス･シーザー」「墓場なき死者」「鹿鳴館」「多重人格探偵サイコ」「愛と不安の夏～原爆乙女たち・愛と勇気の軌跡～」「俺は、君のためにこそ死ににいく」「めぐみへの誓い」などが挙げられます。これらの作品は、国内外で高い評価を受けており、野伏翔の演出家としての才能を証明しています。

アトリエ公演にも力を入れており、「焼け跡の女侠」「戦場のピクニック＆恭しき娼婦」「キネマの天地」「眠れる森の美女」「ミュージカル 誠～That's新選組～」「アンチゴーヌ」「カンガルー」など、実験的な作品にも挑戦しています。野伏翔は、演劇界の発展に大きく貢献している人物として、その活躍に今後も注目が集まっています。

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