野口兼資

野口 兼資について

野口兼資（のぐち かねすけ、1879年11月7日 - 1953年10月4日）は、日本の著名なシテ方宝生流の能楽師です。本名は野口政吉（のぐち まさきち）であり、愛知県名古屋市に生まれました。彼の家系は名古屋の宝生流の旧家として知られ、幼少期から能楽に親しんで成長しました。

経歴と芸風

野口は、16世宝生九郎知栄の高弟として、優れた能楽師のもとで技術を磨きました。彼の家族は著名な能楽と深い関わりを持ち、7歳で初舞台を踏んだ当初から、その才覚を発揮しました。14歳からは本格的に16世宝生九郎の弟子となり、その薫陶を受けて才能をさらに磨き上げました。

彼の芸風は、難しい声をあらわしながらも、強靭さと気品を兼ね備えており、幽玄な表現力が特徴とされます。特に、「本三番目物」として優れた作品を多く演じ、名人としての地位を築いていきました。

シテ方宝生流の中では松本長と並び称され、その芸は高く評価されました。また、他の流派の能楽師たちからも「気合の十四世六平太、位の兼資」と評され、彼の存在は多くの人々に影響を与えました。

受賞歴

1948年には、「姨捨」を演じ、日本芸術院賞を授与される栄誉を受けました。また、1950年には日本芸術院の会員に選出され、その功績は広く認められることとなりました。

晩年

野口兼資の晩年は、1953年に福岡市の住吉能楽堂で「隅田川」を演じる最中、脳溢血で急逝するという悲劇的な形で幕を閉じました。彼の死は多くの能楽関係者に衝撃を与え、その存在を喪失した悲しみは今もなお深く根付いています。

著書

兼資は舞台以外でも活動しており、以下のような著書も残しています：

• - 『黒門町芸話』 (1943年)
• - 『兼資芸談』 (1953年)

これらの著作は、彼の芸を深く理解するための貴重な資料として後世に大きな影響を与えています。さらに、彼の演技は、NHKエンタープライズから発行された「能楽名演集 宝生流『羽衣』」などのDVDとしても残され、視聴者にその魅力を伝え続けています。

関連項目

野口兼資の業績や影響は、近藤乾三や三川泉をはじめとする他の能楽師たちと同様に、日本の伝統芸能である能楽の発展に貢献しました。彼の功績を通じて、未来の世代にわたる能楽の保存と継承が期待されています。

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