野塚トンネル

野塚トンネル：日高山脈を貫く生命線

北海道広尾町と浦河町を結ぶ国道236号に位置する野塚トンネルは、全長4232メートルの道路トンネルです。かつては北海道最長のトンネルとして知られ、十勝地方と日高地方を結ぶ重要な交通路として機能してきました。しかし、その後、さらに長いトンネルがいくつか開通したため、現在では北海道第4位の長さとなっています。

開通までの道のり

十勝と日高を結ぶには、以前はえりもを経由する国道336号を利用する必要がありました。しかし、このルートは遠回りで、黄金道路と呼ばれる区間は、土砂崩れや高波の影響を受けやすく、通行止めになることも頻繁にありました。そのため、より安全で効率的な新たなルートの必要性が強く求められていました。

戦前から迂回路の建設が検討されていましたが、第二次世界大戦の勃発により頓挫しました。その後、野塚岳の直下にトンネルを掘削する計画が持ち上がり、1979年に工事が開始されました。日高山脈を貫く難工事でしたが、1990年に貫通、そして1997年9月25日に国道236号の全線開通にこぎつけました。開通を祝うイベントとして、浦河町長の発案により、40騎の騎馬隊による壮大な渡り初め式典が行われたことは、今も語り継がれる出来事です。

天馬街道と周辺環境

野塚トンネルを含む広尾町から浦河町までの区間は、「天馬街道」と呼ばれています。この名称は、帯広市の公務員によって考案されたもので、「日高地方のサラブレッドと十勝地方のドサンコが、共に天高く舞う」という情景をイメージして名付けられたそうです。

トンネルの浦河側の入口前には、翠明橋公園があり、地元住民に親しまれる隠れ名水が存在します。この公園は、トンネルを通過したドライバーや観光客にとって、憩いの場として利用されています。

トンネルの仕様と利用状況

野塚トンネルは、ドライバーの安全を確保するため、非常電話やラジオ放送設備が設置されています。しかし、歩道がないため、歩行者や自転車の通行は危険が伴い、注意が必要です。路線バスでは、高速ひろおサンタ号のみが利用しています。

トンネルが舞台となったイベント

野塚トンネルは、2005年9月17日に行われた自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」第3ステージのコースにも含まれていました。このイベントは、トンネルの知名度向上に大きく貢献しました。

まとめ

野塚トンネルは、単なる交通路というだけでなく、地域住民の生活を支え、歴史を刻んできた重要な存在です。開通までの困難な道のり、そして開通後の地域社会への貢献は、北海道の歴史に深く刻まれています。また、周辺の自然環境や観光資源も魅力的で、ドライブやサイクリングを楽しむ人々にとって、忘れられない思い出となる場所と言えるでしょう。

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