野左根航汰

野左根 航汰

野左根 航汰（のざね こうた） は、1995年10月29日に千葉県で生を受けた、日本のロードレース界を牽引するライダーの一人です。若くからレースの世界に身を投じ、2024年現在は全日本ロードレース選手権の最高峰クラスであるJSB1000に、Astemo Honda Dream SI Racingより参戦しています。

キャリアの形成期

野左根選手のキャリアは、伝説的なロードレーサーである故・阿部典史氏が立ち上げた育成チーム「Team Norick」で始まりました。2006年から2014年までの約9年間をこのチームで過ごし、ライダーとしての基礎と才能を開花させます。全日本ロードレース選手権への本格的な参戦は2010年から。J-GP3クラスを経て、2011年からはJ-GP2クラスへステップアップします。このクラスで頭角を現し、2013年には見事、シリーズチャンピオンの座を獲得しました。J-GP2時代には、2012年と翌2013年にロードレース世界選手権Moto2クラスへのスポット参戦も経験し、世界のトップレベルを肌で感じています。

転換と国内復帰

2014年には、世界選手権Moto2クラスへのフル参戦が発表されました。しかし、個人的な理由によりこの機会を断念し、一度はレースキャリアからの引退を考えるほどでした。それでも、周囲の熱心な説得を受け、日本のロードレース界での再挑戦を決意します。同年に阿部光雄監督が急遽設立した「NTSチームノリックヤマハ」から、国内最高峰クラスとなるJSB1000への挑戦を開始しました。この年は準備期間が短く、マシンもほぼ市販車に近い状態でしたが、ランキング8位に入り、そのポテンシャルを示しました。

ヤマハ時代からJSB1000王者へ

2015年からは、ヤマハ発動機が新たに設立した「YAMALUBE RACING TEAM」へ移籍。JSB1000クラスでランキング7位、翌2016年には5位と順位を着実に上げました。2016年にはFIM世界耐久選手権にも参戦し、表彰台を獲得するなど国際舞台でも活躍します。2017年にはヤマハの国内ファクトリーチームである「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」へ加入。長年のライバルでありチームメイトとなった中須賀克行選手と共にJSB1000を戦い、ランキング5位となりました。この年にはロードレース世界選手権MotoGPクラスへの急遽の代役参戦も果たし、結果はリタイヤだったものの、バレンティーノ・ロッシ選手から高い評価を受けるなど、その速さを世界のトップライダーたちに印象付けました。

ファクトリーチームで経験を重ね、JSB1000では2018年にランキング4位、2019年にはランキング3位と、常に上位争いに加わる存在となります。特に2019年の第6戦岡山国際サーキットでは、雨中の難しいコンディションで圧倒的な速さを見せつけ、JSB1000での初優勝を飾りました。

そして2020年、野左根選手はJSB1000クラスで最高のシーズンを迎えます。開幕戦から連勝を飾り、シーズンを通して他を寄せ付けない圧倒的な強さを発揮。第5戦鈴鹿サーキットで年間チャンピオンを確定させ、この年の全日本ロードレース選手権JSB1000クラスで初のタイトルを獲得しました。

世界への挑戦と国内復帰

JSB1000チャンピオンとして、2021年からは活躍の場を世界へと移します。2シーズンにわたりスーパーバイク世界選手権（WorldSBK）に参戦し、世界の強豪ライダーたちと互角の戦いを繰り広げました。2023年には再びロードレース世界選手権に戻り、MotoGPへのステップアップを目指すMoto2クラスに挑戦しました。

世界での経験を積んだ後、2024年からは日本のロードレース界へ復帰。ヤマハからホンダへとマシンをスイッチし、Astemo Honda Dream SI Racingの一員として再びJSB1000クラスでのタイトル獲得を目指しています。

その他

レース以外の趣味はラジコンやゲームで、特にMotoGPのゲームではツインリンクもてぎのコースで世界トップタイムを記録したこともあるほどの実力の持ち主です。また、同じく全日本ロードレースで活躍する水野涼選手や濱原颯道選手、オートレーサーの上和田拓海選手らとも親しいことで知られています。

故・阿部典史氏のヘルメットデザインをモチーフにしたSHOEIヘルメットを愛用し、クシタニのレーシングスーツとグローブ、アルパインスターズのブーツという装備で戦いに挑む野左根航汰選手。国内外で培った豊富な経験と実力で、再び日本のトップを目指す彼の今後の活躍に注目が集まります。

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