野底武彦

野底武彦（のか たけひこ）

概要

野底武彦（1928年3月27日 - 2007年8月10日）は、琉球政府および沖縄県の政治活動家であり、琉球独立運動の先駆者として知られています。琉球独立党（現在のかりゆしクラブ）の初代党首を務め、2005年からは名誉党首となりました。沖縄県与那国町出身で、ペンネームは「野底土南（ぬか どなん）」を用いていました。

生涯

1928年、沖縄県与那国町に生まれた野底は、沖縄本島の沖縄県立首里第一中学校（現在の沖縄県立首里高等学校）に進学後、台湾に渡り台北州立基隆中学校（現在の国立基隆高級中学）に転校しました。終戦後、台湾から日本本土へ帰国し、法政大学経済学部に進学。在学中に沖縄県出身者として初めて公認会計士の資格を取得しました。

大学卒業後、アメリカ統治下の沖縄に戻り、沖縄大学の講師として教鞭を執りました。1968年には行政主席選挙に立候補し、琉球の独立を強く訴えましたが、落選しました。しかし、その独立への情熱は衰えることなく、公認会計士としての専門知識を活かし、経済学的な観点から琉球の独立を理論的に提唱しました。

野底は、従来の独立論を踏まえつつ、経済的な自立が独立国家としての国家経営を可能にすると主張し、著書『どうすれば通貨不安は解消できるか』などでその具体策を提示しました。また、尖閣諸島が琉球民族によって歴史的に占有されていたと主張し、その領有権を国際的に訴えました。さらに、周辺海域に埋蔵されている地下資源に着目し、その開発を提唱するなど、先見の明がありました。

崎間敏勝とともに琉球独立党を結成し、党首に就任しましたが、1978年の交通方法変更を機に党の活動は停滞しました。2005年には党首の座を屋良朝助に譲り、自身は名誉党首となりました。2007年、肺炎のため逝去しました。

琉球独立運動における貢献

野底武彦は、琉球独立運動において、以下の3つの点で大きな貢献をしました。

1. 経済的自立の重要性の提唱: 公認会計士としての専門知識を活かし、琉球が経済的に自立することで独立国家としての経営が可能であることを理論的に示しました。
2. 尖閣諸島の領有権の主張: 尖閣諸島が琉球民族によって歴史的に占有されていたと主張し、その領有権を国際社会に訴えかけました。
3. 地下資源開発の提唱: 周辺海域に埋蔵されている地下資源の開発を提唱し、琉球の経済的発展に繋がる可能性を提示しました。

これらの活動を通して、野底は琉球独立運動に新たな視点と方向性をもたらし、その後の運動に大きな影響を与えました。

関連事項

法政大学
公認会計士
第1回行政主席通常選挙
かりゆしクラブ
琉球独立運動

参考文献

『どうすれば通貨不安は解消できるか』野底武彦 著
* 琉球独立党機関紙『三星天洋』琉球独立党

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