野村一成

野村 一成（のむら いっせい）

野村一成は1940年5月20日に愛知県名古屋市で生まれました。彼は広島県賀茂郡大和町（現在の三原市）で育ち、少年時代を淡路島で過ごしました。彼の父は元陸軍軍医でしたが、野村は東京大学法学部に進学し、1962年には外務上級試験に合格しました。卒業後、彼は1963年に外務省に入省しました。彼の同期には、現在、著名な学者である浅井基文明教授や平林博経済協力局長がいます。

入省後、野村は「ロシアン・スクール」に進み、モスクワやデンマークを含む欧州諸国の大使館で仕官し、要職を歴任しました。また、1960年代後半にはモスクワの日本大使館で小和田恆と共に働いていました。

彼のキャリアの一環として、1984年にはソ連課長として国際的な活動を強化し、1967年から開始される第1回日ソ外相定期協議において計5回の協議に参画しました。特に1986年には安倍晋三とシェワルナゼの会談でシナリオを担当したことが評価されています。その後、彼は外務参事官となり、1987年には在アメリカ合衆国公使として任命されました。

1990年に行われたヒューストン・サミットでは調整役を務め、内閣審議官として国連平和維持活動（PKO）協力法案の国会審議においては、野党議員に対しても譲らない姿勢で傍目に映りました。1993年には欧亜局長としてエリツィン・ロシア大統領の来日時に東京宣言の取りまとめを行い、北方領土問題に関しても重要な役割を果たしました。

また、彼は旧ユーゴスラビア地域の紛争防止外交にも積極的に取り組み、1995年からは駐マレーシア大使を務めました。1999年には国内で初の沖縄担当大使として基地問題や沖縄サミットへの対応に成功を収めました。続いて2001年には駐ドイツ大使として日本とドイツとの関係強化に努め、2002年には駐ロシア連邦大使に任命されました。

彼は2006年4月にロシア連邦大使を退任し、同年4月6日には宮内庁東宮職の東宮大夫に就任しました。2011年7月5日には約5年3か月にわたる東宮大夫の任を終え、宮内庁御用掛に就任しました。2012年には宮内庁御用掛の任期が延長されました。その後、2015年11月には瑞宝重光章を受章しました。

2021年7月4日、野村一成は肺炎のため亡くなりました。享年81歳で、その死去により正三位に叙されました。彼の生涯にわたる多大な業績は、日本の外交史において重要な足跡を残しました。

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