野生の王国

『野生の王国』の概要

『野生の王国』（やせいのおうこく）は、1963年12月12日から1990年9月21日まで日本の地上波テレビで放送されたドキュメンタリーおよび教養番組です。この番組は毎日放送（MBS）と東北新社が制作し、特に1990年9月までの長い期間にわたり、動物とその栖息環境について豊富な映像と専門家の解説を交えて視聴者に紹介しました。特筆すべきは、1967年からカラー放送に移行し、全1050回という放送回数を誇る点です。後にはCSチャンネルのスカイパーフェクTV!でも再放送され、多くのファンに愛され続けました。

番組の内容

このドキュメンタリー番組は、世界各地の動物たちの生態系を探求し、映像とナレーション、そして専門家のコメントを融合させて魅力的な内容を提供しました。番組はアメリカの動物学者マーリン・パーキンスが制作・出演した『Wild Kingdom』の日本語版として始まりました。当初はオリジナルのフィルムを使用し、パーキンスの声での吹き替えが行われましたが、次第に独自の制作スタイルに移行し、国際的な映像や国内制作の映像も積極的に取り入れました。

中期には、ナレーターの八木治郎と上野動物園の元園長古賀忠道が対談形式で動物について説明するスタイルが登場し、この影響は八木の急逝後も続きました。最末期には芸能人がリポーターを務め、さまざまな視点から動物との共生を考察する内容へと進化しました。

表彰と評価

『野生の王国』は多くの受賞歴を持ち、優秀動物愛護映画コンクールでの優秀賞や中央児童福祉審議会の推薦を受けるなど、その教育的価値が評価されてきました。

放送チャンネルとネットワーク

番組は1975年3月まではNET系列で放送され、その後はTBS系列に移りました。最初期から数回にわたり休止期間もありましたが、全体を通じて多くの地域で放送される人気番組となりました。特に金曜のプライムタイムに放送され、多くの視聴者に視聴されました。

主題歌とナレーター

番組の魅力をさらに引き立てたのが、幾つかの主題歌です。最初のオープニング曲は宇野正寛の作曲によるもので、1963年から1984年まで使用されました。主なナレーターには初代の浦野光、2代目の八木治郎などが名を連ね、多様な語り口で動物の魅力を伝えました。

取り上げた生物とテーマ

『野生の王国』ではアフリカのサバンナや日本の北海道のヒグマなど、多岐にわたる生物が取り上げられました。その中で常に自然保護と動物愛護の視点が強調され、視聴者に大きな影響を与えました。しかし、価値観の変化もあり、初期の草食動物偏重から後期には肉食動物の視点にもフォーカスが当たりました。

企業とスポンサー

番組のスポンサーは初期は住友グループが、後にはNECグループや久保田鉄工が加わり、複数社提供が行われました。エコロジーや動物愛護の観点からも積極的な情報発信がなされ、WWFへの協力も訴えていました。

終幕

番組は1990年9月21日、最終回となる「ヒトと動物の共生は可能なのか？」をもって、その長い歴史に幕を下ろしました。視聴者にとって「野生の王国」はただの娯楽番組ではなく、動物や自然についての理解を深める貴重な存在でした。

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